約 3,310,524 件
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/7658.html
サイバーナイト 【さいばーないと】 ジャンル ロールプレイング 対応機種 PCエンジン メディア 4MbitHuカード 発売元 トンキンハウス 開発元 コンパイル 発売日 1990年10月12日 定価 6, 800円(税別) プレイ人数 1人 判定 なし ポイント 全体的に独特なシステムゲームバランスはもう一歩 概要 ストーリー システム 評価点 賛否両論点 問題点 総評 移植・その他の展開 概要 『ソード・ワールド』や『ロードス島戦記』などのテーブルトークRPGで知られる「グループSNE」が企画・シナリオに参加した、未来の宇宙を舞台にしたロールプレイングゲーム。メカニックデザインには『機動戦士ガンダム』で有名な大河原邦夫氏が携わっている。プレイヤーは宇宙戦艦「ソードフィッシュ」のコマンダー(指揮官)となり、戦闘時のトラブルにより宇宙のはるか彼方へとワープしてしまった戦艦を、生き残ったクルーたちと共に地球へ帰還させるのが目的となる。 ストーリー A.D.2352年。傭兵部隊の宇宙戦艦ソードフィッシュは、任務中に宇宙海賊からの奇襲攻撃を受けた(*1)。激しい戦闘により機体は損傷し、キャプテンを始めとしたクルーにも多数の死者が出てしまった状況で、主人公であるコマンダーは、危険を承知の上で、空間を飛び越えるジャンプ・ドライブの使用を命じた。機体の損傷により座標が定まらないままジャンプした戦艦は、地球から約28,000光年離れた銀河系の中心へと移動してしまう。わずかに残された6名の戦闘員を含む23名のクルーは、果たして生存する事は出来るのか、地球へと帰還することは出来るのだろうか……。 システム SFを軸としたRPGだが、その多くが独特のシステムを擁しているため、具体的に説明していく。 ゲームの進行 基本的には戦艦で恒星・惑星を移動→惑星を調査し着陸→「モジュール(いわゆるパワードスーツ)」を装着しての惑星内の探索・情報収集、あるいは敵の殱滅、重要アイテムの獲得→シナリオの進展により恒星・惑星を移動の繰り返しとなる。 戦艦(ソードフィッシュ)での行動 戦艦ではコマンド選択式の行動となる。戦艦内は5つのブースに分かれており、各所で様々な行動を行える。 ブリッジ恒星・惑星間の移動や惑星の調査、着陸を行う。ストーリーが進むにつれて戦艦の性能が上がり、移動範囲は広がっていく。 恒星は7×7マスの地図上に散らばっており、計26の恒星内には、さらに複数の惑星が存在する。惑星は様々な要素で出来ており、生命体が確認できて着陸可能なものはごく僅かである。 ラウンジ戦闘員のデータ閲覧や、出撃するメンバーの入れ替えができる。5名の戦闘員キャラクターから1~3名を選んで出撃チームを編成するのだが、その際に必ず主人公1名が含まれていなくてはならない。 なお、シナリオの進行状況によっては、必ず連れて行かなければならないメンバーも存在する(後述)。 ラボ敵との戦闘により手に入る「トレジャー」を解析することで、新型武器の開発やモジュールの強化ができる。 作品中は金銭の概念が存在しないため、装備品やモジュールの強化は、このラボが中心となる。 メディカル戦闘員の負傷の治療、死亡した戦闘員をクローン技術で再生するほか、パスワードの表示やバックアップユニットによるセーブもできる。 「出撃前に保存しておいた記録データを基にクローンを作る」という設定のため、クローン再生した際は経験値が出撃前の状態に戻ってしまう。 なお、物語冒頭の宇宙海賊の奇襲を受けた際に記録データを破損してしまったため、この時に死亡したキャプテン達のクローン再生はできない。 また小説版によると同一人物を複数作ると発狂してしまうため有能なキャラを量産することも不可能(*2)。 ハンガーモジュールの修理、武器・オプション・フィールド(防御用アイテム)の装備、修理・治療用キットの補充、戦闘員が装着するモジュールの選択、モジュールおよび装備のデータ閲覧ができる。モジュールは用途別に5タイプがあり、3人がそれぞれ別のタイプのモジュールを装着することになる。武器は遠距離攻撃用と近距離攻撃用に大別され、さらに両手持ちと片手持ちがある。オプションは通常武器に比べ強力な攻撃が可能で、すべて遠距離攻撃用に分別される。各オプションごとに弾数制限がある。フィールドは戦闘終了時まで有効な防御用アイテムである。1個使うと消費する。 各装備品には3種類のサイズと5種類の属性があり、モジュールによって装備できる条件が異なる。敵に特定の防御属性がある場合、全くダメージが入らないこともある。同様にフィールドを利用することで特定の攻撃属性から全くダメージを受けなくすることもできる。 また惑星着陸時は、ここから出撃をする。戦艦への帰還時もハンガーが到着先となる。 惑星での行動 惑星内はいわゆるフィールド型RPGの要領で行動する。 街や集落では住民から情報を得ることができる。シナリオ進行において重要な情報を持つ住民は、その場を動かず微動だにしない場合がほとんどである。 「どんな有害物質や病原菌があるか判らない」と言う理由で、主人公達は街中でもモジュール姿である。まぁメタ的には容量節約が理由だろうが(ソードフィッシュ内はテキスト表示)。 屋外フィールドでは、ランダムエンカウントによる敵との戦闘が発生する。重要アイテムの探索、ダンジョンへの移動が主目的となる。 ダンジョンでは、屋外フィールド同様に敵との戦闘が発生する場合が多い。重要アイテムの探索のほか、敵ボスの殱滅などが主目的となる。目的を果たすと「ミッション完了」のメッセージが表示され、自動的にダンジョンの外に出ることもある。 メニュー画面では、キットを使用しての戦闘員の治療やモジュールの修理が出来る。キットは治療用・修理用それぞれ最大10個まで持つことができる。 敵との戦闘 戦闘時は6×6マスの戦闘フィールド画面へと移行する。戦闘はコマンド選択型のターン制となっており、味方の初期配置は戦艦内のラウンジでの選択順によって固定されている。 ターンの最初に「戦闘」と「逃亡」が選択可能。逃亡に失敗すると、そのターンは敵のみが行動可能となる。 3人の味方は、それぞれフィールド内の移動設定をした後、「攻撃」「オプション」「防御」「装備」の各コマンドを選択する。「攻撃」は弾数制限なしの通常攻撃。「オプション」は弾数制限のあるオプションによる攻撃。所持数内であれば、複数個を同時に使用することで、敵に個数分のダメージを与えることもできる。「装備」はさらに「武器」と「フィールド」が選択でき、「武器」では使用武器の変更が可能。「フィールド」では戦闘終了まで有効な防御アイテムを使用する。武器変更以外のコマンドは1ターンを消費する。 移動範囲はモジュールの性能により変化する。基本的に装甲値の低いモジュールほど移動範囲は広い。 攻撃には近距離攻撃と遠距離攻撃がある。縦・横もしくは斜めに敵が隣接すると強制的に近距離攻撃となる。この場合、コマンド選択時に攻撃目標を遠距離の敵にしていたり、遠距離型の武器やオプションを使おうとしていたりすると、そのターンは攻撃不可となる。逆に敵との間に距離があると強制的に遠距離攻撃となり、コマンド選択時に攻撃対象を隣接する敵にしていたり、近距離型の武器しか装備していない場合はそのターンが攻撃不可となる。また複数の味方が同じ敵を攻撃目標として、先に敵を倒してしまった場合、後から攻撃する味方はそのターンが攻撃不可となる。 敵にも同じことが言える。近距離攻撃しかできない敵は、距離を離すことで攻撃不可となり、逆に遠距離攻撃しかできない敵は、隣接することで攻撃ができなくなる。 移動順および攻撃順は、各キャラクターの素早さに応じて決まる。なおモジュールによる素早さの影響はない。 戦闘員には「LP(ライフポイント)」が、モジュールには「EP(エネルギーポイント)」がそれぞれ設定されており、敵からの攻撃によって各ポイントが減少する。LPが0になると戦闘員は死亡し、戦艦のメディカルで治療するまで行動不能となる。EPが0になるとモジュールが破壊され行動不能となるが、戦闘終了後にリペアキットを使用することで修復が可能となっている。 戦闘中に味方全員のLPもしくはEPが0になるとゲームオーバーとなり、タイトル画面へと戻される。 前述のとおり、各装備品には、5つの属性が存在しており、敵の防御属性によっては、まったくダメージを与えられない場合もある。戦闘中に戦艦の人工知能から、敵の防御属性情報が送られてくるため、これを参考にした上で武器の装備変更を行うこともある。 敵をすべて倒すと戦闘終了となる。各戦闘員は経験値を獲得し、一定量で各スキルがレベルアップする。また、敵の残骸から「トレジャー」を発見することがある。トレジャーは前述の戦艦のラボにて、新武器の開発やモジュールの性能強化に使用する。 成長要素 戦闘員には「コンバット」「メカニック」「サイエンス」「メディック」の各種スキルが設定されており、経験値を貯めることで、各種スキルランクがアップする。「コンバット」は通常戦闘能力、「メカニック」はモジュールの修理能力、「サイエンス」は敵残骸からのトレジャーの発見能力、「メディック」は戦闘員の治療能力にそれぞれ反映される。すべてのスキルを持つのは主人公のみで、他の戦闘員はそれぞれのクラス(職業)に応じて高く成長するスキルもあれば、まったく成長しないスキルもある。 経験値は敵との戦闘以外に、フィールド上での治療や修理、トレジャーの発見、ミッションを完了しての戦艦への帰還時にも獲得できる。特にミッション完了時の経験値は敵との戦闘よりも遥かに高い経験値を獲得できる。 このあたりは、テーブルトークRPGを得意とする製作陣ならではの手法といえる。 + 主要キャラ紹介 苗字は小説版で追加されたもの。小説版では他にも名前付きのクルーが登場している。 主人公(ネームエントリー可能(*3)):コマンダー 戦艦ソードフィッシュ戦闘指揮官。キャプテン(船長)の死亡・再生不可により、キャプテン代理となる。ゲーム開始時にパロメーターを振り分けることで、独自の性能となる。すべてのスキルを満遍なく覚えることができる。パーティーから外すことはできない。 クレイン・キューバート:ソルジャー 血気盛んな男性。戦闘能力の中でも、体力に長けていて重量級のモジュールも装着可能。コンバットスキルは高く伸びるが、サイエンススキルとメディックスキルは成長しない。 キリ・ザンジヌ:ソルジャー 短髪で褐色の女性。戦闘能力の中でも、素早さに長けている。スキルの成長値はクレインと同じである。 シャイン・リー:サイエンティスト 理系で爽やかな優男。戦闘能力は低い。サイエンススキルは高く伸びるが、メカニックスキルとメディックスキルは成長しない。シナリオ上、理系の知識を活かすためにパーティーに組み入れなければならない場面がある。 ヴィンド・ベルク:メカニック サングラスをかけた大柄の男性。戦闘能力はそこそこ。メカニックスキルは高く伸びるが、サイエンススキルとメディックスキルは成長しない。シナリオ上、メカの知識を活かすためにパーティーに組み入れなければならない場面がある。 二ジーナ・バリスコフ:ドクター 知的で温和な女性。戦闘能力は低い。メディックスキルは高く伸びるが、メカニックスキルとサイエンススキルは成長しない。 MICA ソードフッシュのメインコンピューターで女性人格のAI。敵である「バーサーカー(*4)」へのネーミング(*5)は彼女がおこなっている。『II』では本作以上に重要キャラ。 + モジュール紹介 レックス 各能力、装備品の最大所持数ともに平均的な万能型モジュール。インパクト、レーザー、ビーム系武器を装備できる。カタログ上の格闘能力は高くないが、移動力がそれなりにありレイブレードとの相性が良いため目立った欠点が無い。 ウィナー 基本能力はレックスとさほど変わらない汎用型だが、EPが低くオプションの最大所持数が少ない。インパクト、レーザー、ヒート系武器を装備できる。専売特許のヒート系武器は一部環境から悪影響を受けるが、防御手段が存在しないため敵は選ばないのが利点。 シェリフ 移動と回避に特化しており、EPと装甲は最も薄い。Lサイズのオプションを運用できるものの最大所持数はウィナー以上に少ない。インパクト武器のみ装備できる。被弾=即死に近い状況では回避能力が光る一方、汎用性は低い。 タイタン 装甲と防御に特化した射撃戦用の重量級。EPと装甲は高めだが移動と回避能力に劣る。武器とオプションの最大所持数が多く、装備可能な武器も豊富。インパクト、レーザー、ビーム武器を装備できる。 サウルス 最高の格闘能力と装甲、EPを誇る格闘戦用重量級モジュール。スペシャル系格闘武器はゲーム中最強の破壊力を誇るが移動能力が低いため接近に苦労する。武器とオプションの最大所持数は少ない。インパクト、スペシャル系武器を装備できる(スペシャル武器の属性はインパクト扱い)。 評価点 他に類を見ない独特なシステム それまでのRPGと比較して、移動方法から戦闘方法、強化や成長に至るまで、非常に独特のシステムを搭載しており、それらがゲームそのものを破綻させることなくパッケージングされている。オリジナリティの高さという点で大いに評価できる。 フィールド上の移動や、マス目を利用した戦闘システムは従来のRPGでも存在したが、近距離と遠距離の攻撃を使い分けたり、基本的な移動自体は戦艦でのコマンド選択で行なったりするなどのシステムを採り入れることで、独自性を高めている。 特に恒星間を移動することにより、金銭的価値を無い物とする世界観であることから、武器やモジュールの強化を敵の部品から分析して開発するというシステムは、ドラクエライクなRPGに慣れ親しんだ当時のゲームプレイヤーからすれば、非常に斬新かつ世界観を損ねないシステムとして評価できる。(「出撃して中身不明のトレジャーを拾い集めて帰還、拠点で中身を解析するとたまに強力武器や重要アイテムが出てくる」というシステムは『Wizardry』からの影響を感じさせるが、元ネタ同様のくじ引き感を醸し出しており、本作の熱中度をいっそう高めている) 「規定の種類・数の素材を集めて消費することで武器やモジュール(キャラ)を強化できる」というシステムは今はごくありふれているが、この時代においてはMMORPGに特有のものと考えられており、ソロプレイRPGでの採用は先例が少なく新鮮であった。素材集めの為に戦闘を繰り返す、今で言う「トレハンゲー」の先駆者であると言っても過言ではないだろう。 実績に裏付けされた世界観の構築 数々のテーブルトークRPGを手掛けてきたグループSNEの面々が携わっているだけあって、ゲーム内の世界観や「モジュール」などの高度な技術、各惑星の文明などの設定がしっかりと構築されており完成度が高い。 戦艦の人工知能である「MICA」から発信される各種の情報や、戦闘員をはじめとしたクルーたちの会話には、「モノポール・コイル」や「ジャンプ・ドライブ」といったオリジナルの設定が備わった用語や、「クローン」や「ジェネレーター」などのSFならではの高度な技術様式を踏まえた内容が散見され、ゲームの雰囲気作りに効果を発揮している。 「モジュール」の魅力 5名の戦闘員キャラクターは、それぞれタイプの異なる「モジュール」(いわゆるパワードスーツ)を装着して出撃する。これには複数箇所の武装取り付けポイントがあり、入手した武装を自分で装備してカスタマイズしていく楽しさがある。武装には格闘、射撃の大別の他、インパクト(マシンガンなどの実弾武器)、レーザー、ヒート(火炎放射等)といった属性があり、敵によって有効な武器は異なる。またモジュールごとに装備可能な武器にも差異があるので、武装カスタマイズとパーティ編成を工夫しなくてはならない。これが非常に楽しく、熱中している間にけっこうな時間が過ぎてしまう。 モジュールのデザインも、先述の通り全盛期の大河原邦男氏が手掛けており、とてもかっこいい(等身大らしさに乏しく巨大ロボットに見えてしまう機体が多いのはご愛嬌だが)。ゲーム内の戦闘シーンでも、簡易ではあるがアニメーションで交戦の様子が描かれ、モジュールの個性と魅力が表現されている。 レベルアップ作業が簡易的 戦闘員のレベルアップ要素は「ミッションの完了」が大半と言うグループSNE作品らしいTRPG的バランスなので、一般的なCRPGにありがちな敵を倒してレベルを上げる「作業」がシステム上ほぼ存在しない。モジュールや装備品の強化も、お金を貯めて購入するわけではなく、せいぜい目的の敵を倒してトレジャーを発見するという範疇に収まっている(発見率もそれなりに高い)ので、ダラダラとプレイ時間を浪費することなく、ストーリー進行に注力できる点は評価できる。(先述の通り「トレハンゲー」の先駆的な作品ではあるが、重要アイテムや強力武器のドロップ率は高めに設定されており、要求プレイ時間は現代のトレハンゲーよりもかなり控えめである) 賛否両論点 敵を倒した時のダメージ表示 一般的なRPGでは、敵を倒す際のダメージ量は、通常のダメージ量とほぼ同じ量だが、本作では、敵を倒した際のダメージ量は、その時点の敵の残り体力値が反映される。 敵の正確な体力値が判るのはいいのだが、一定量のダメージを与えた後に、武器を変更して敵を倒してしまうと、その武器が敵に対して有効なのかどうかが不明瞭になるという点においてはデメリットともいえる。 問題点 やや大味な戦闘バランス 序盤は味方のコンバットスキルが低いため、敵への命中率が低く攻撃が当たりにくい。ただし、敵側の命中率もさほど高くないため、お互いに攻撃が当たらないままターン消費されるという状況になりがちである。 ゲームが終盤に差しかかってくると、今度はコンバットスキルが上がっているために回避率が高くなり、敵からの攻撃はかなりの確率で回避もしくはダメージ無しという傾向にある。 ある意味これもTRPG的(*6)バランスといえる。 オプションの威力が非常に強く、複数弾を同時に使用すれば、敵ボスであっても一撃で倒すことが出来てしまう。弾数には制限があり、敵との近接状態では使用できないという条件はあるものの、戦闘バランスとしてはかなり偏ってしまっている。 オプションは敵にも使用するキャラがおり、命中率は低いもののほぼ一撃で味方がやられてしまうという状況もしばしばある。ダンジョンからの脱出手段がないため、ダンジョンの深い場所での一撃死はプレイする上でかなり厳しい。 途中のイベントで入手するスペシャル武器が非常に強力で、通常の敵であればインパクト耐性がない限りほぼ一撃で倒せてしまう(耐性があるとダメージ0)というバランスブレイカーである。 システムで説明したとおり、ターン中に予期せぬ形で攻撃不可となる条件がいくつかあるため、慣れないうちはなかなか攻撃自体ができないことがあり、やや敷居が高く感じられる。 上記のように全体的に戦闘バランスのチューニングが甘く、せっかくの独特な戦闘システムを活かしきれていないため、大味な展開になりがちである。 惑星の探索が不便 住民の情報で、目的地の名称を惑星の固有名詞で呼ぶ場合があるのだが、戦艦での惑星移動時の表記がすべて「恒星名・第○惑星」となっているため、いちいち恒星・惑星を移動して調査を繰り返した上で、目的の惑星を探し出さなくてはいけないのが不便である。 ストーリーの進行上、一度訪れた惑星に再度訪れる機会も多いが、その都度「恒星名・第○惑星」という表記となるため、惑星名と恒星名・数値をきちんと紐づけた上で記憶するかメモを取っておかないと、いくつもある恒星間を虱潰しに探索しなければならなくなる。 また、重要な情報をくれる住民のセリフが一度しか聞けない場合も多く(次に話しかけると別のセリフに切り替わってしまう)、情報をしっかり覚えておかないと次なる目的地が分からなくなり、やはり恒星間を虱潰しに探索しなくてはならなくなってしまう。 せっかくの独自性の高い移動システムが、シナリオとの不一致により、不便を来してしまっているのは大きな問題点といえる。 登場人物の個性が凡庸 戦闘員のほか、戦艦内の各クルーにはそれぞれ独自のキャラクター設定がされているが、ゲーム内においてはそれらの設定がさほど活かしきれておらず、凡庸なキャラクターに納まってしまっているのが惜しい。 戦闘員が固有のセリフを話す際に、戦艦のラウンジで表示される顔イラストが表示されるとか、戦艦内の各ブースのクルーに独特のセリフ回しをつけるとか、やりようは色々あったかと思うが……。 世界観やSFの設定自体は申し分ない上に、小説では各キャラクターの掘り下げも出来ている。それだけに、ゲーム内で主要な登場人物の個性が活かされておらず、作品そのものが地味な印象となってしまっているのは、たいへん残念な要素である。 各惑星の住民の中には、商売を生業として関西弁を話すエイリアンや、文明が拓かれていない原始人、歌を歌うクジラの民族、九州弁を話す血気盛んなレジスタンス、シリコン生命体など、それなりに個性豊かな面々も存在する。 総評 従来のドラクエライクなRPGとは全く異なる独自性の高い様々なシステムが、ゲーム内にうまくパッケージングされてはいるが、ゲーム全体のバランスや情報の収集要素がかなり荒削りなため、せっかくの独自のシステムを活かしきれていない。 せめて主要な登場人物に、より内面的な個性が演出されていれば際立つ面もあったのだが、キャラクター性も凡庸なものに終始しており、もう一歩で名作と呼べる誠に惜しい作品である。 SFの世界観に抵抗がなく、一風変わったRPGをプレイしてみたいという方にはおすすめである。 移植・その他の展開 1992年にSFCに移植されている。 1994年には同じくSFCにて『サイバーナイトII 地球帝国の逆襲』がリリースされている。前作同様にグループSNEが製作に携わっている。 一方で元祖のはずのPCエンジンで『II』が発売されることは最後までなかった。 ゲームのリリース前後には、シナリオ担当の山本弘氏による、本編の前日譚といえる内容の小説が『マル勝PCエンジン』誌上にて連載された。後に角川スニーカー文庫より『サイバーナイト 戦士たちの肖像』として書籍化されている。 その後、ゲーム本編の内容を綴った小説が、前作同様に山本氏の執筆にて角川スニーカー文庫より上下巻で刊行された(*7)。また『II』の小説版も山本氏によって書かれ出版されている。
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/9481.html
本記事は、最初に発売された3DO版を解説しています。 後発の各移植版は差異が大きいためご注意ください。 オーバードライビン 【おーばーどらいびん】 ジャンル レーシング 対応機種 3DO interactive multiplayer 発売元 エレクトロニック・アーツ・ビクター 開発元 エレクトロニック・アーツ・カナダ 発売日 1994年12月16日 定価 8,800円 (税抜) プレイ人数 1人 レーティング 3DO用審査 E(一般向) 備考 後にMS-DOS/PS/SS/Windowsに移植(内容は別物)日本向けSS版は大きなローカライズあり後にPS版も類似のローカライズ版が発売 判定 良作 ポイント 後に老舗シリーズとなる『Need for Speed』の第1作臨場感を徹底追求したドライブシミュレータースピード感よりリアリティを重視実在のスポーツカー8台を使いこなせ原題の通り、最高速チャレンジが熱い Need for Speedシリーズ 概要 特徴 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 その後の展開 概要 エレクトロニック・アーツから1994年に発売された3DO用レースゲーム。 日本語版は独自の邦題が付けられているのだが、原題は『The Need for Speed』。実は今作、言わずと知れたあの老舗レースゲームの一作目である。 3DO社代表がEA出身であったためか、同社は3DOの主力としてハードに大きく貢献したメーカーとして知られている。 (代表作は『ショックウェーブ(*1)』『ロードラッシュ(*2)』『痛快ゲームショー ツイステッド(*3)』『バーチャルスタジアムシリーズ(*4)』など) 特に今作は3DOにおけるレースゲームの金字塔として高く評価されており、欧米・日本問わず3DOの名作タイトルの一つとして名前が挙がりやすい。 今作はアメリカのスポーツカー専門誌『Road Track』とタイアップして開発されている。 ゲーム内では8台の実在するスポーツカーが運転可能となっているが、これらは同誌の監修のもと、マシンごとに詳細な設定が施されており、開発陣のこだわりが詰まっている。 特徴 システム 今作は主観視点・一方通行型のレースゲームである。 レースの舞台は3セクションで構成された公道。CPU1台とレース対決を行い、ゴールまでの総計タイムで勝敗を競う。 難易度EASY時はセクションが2つに減少する。 道中では一般車両(いわゆるアザーカー)が通行の邪魔となり、道中のパトカーに見つかると追跡される。 アザーカーはただの壁ではなく、衝突するととんでもなく吹っ飛ばされてタイムロスとなる。好記録を残すには、是が非でも避けなければならない。 パトカーに捕まると違反とみなされ、一定回数捕まればその場でゲームオーバーとなる。どれだけ優勢だろうと強制終了させられるので、高難易度プレイ時に違反を切られると気が抜けない。 パトカーの位置は画面左上のセンサーで把握可能。距離が近づくにつれ、アラームがけたたましく鳴り始める。 低速移動していると見逃してもらえるが、律儀に違反を避けると大きなタイムロスになるため、基本的には高速で逃げ切らなければならない。 残機制を採用。 マシンは4回までクラッシュが許されており、それ以上クラッシュするとレースは棄権扱いとなる。 クラッシュせずに一定区間を走り抜けると、残機が追加される。 最高速チャレンジ 完走時にはクリア時間だけでなく、平均時速と最高時速も算出される。特に最高時速は今作の肝と言っても過言ではなく、『オーバードライビン』の魅力の一端として認識されている。 今作は最高速度に達するまでの時間が長く、速度の上昇が攻略のカギを握る。カーブ時や敵避け時、いかに減速しないよう気を使うかが基本で、プレイヤーの運転技術と、敵避けに対する柔軟な対応が結果に直結する。 今作は一回あたりのレース時間が長い上、タイムは運に左右されやすい。敷居が低くて直感的にもわかりやすい最高速チャレンジは、思わず挑みたくなるやりこみ要素に仕上がっている。 特に日本のゲーム雑誌では、ちょっとしたムーブメントが起きたことも(後述)。 ゲーム内容 コースは全3種。 CITY:ハイウェイを駆け抜ける基本的なステージ。対向車がなく、地形もカーブも単純なため、初めて遊ぶにも記録を目指すにももってこいのコースとなっている。 ALPINE(*5):峠道を登り降りするコース。地形が邪魔で前が見えなかったり、下り坂で急加速したりと、障害は多い。今作の最難関コースである。 COASTAL:海沿いの道を優雅にクルージングするコース。気球の見える海や林道などを通過することになり、ここだけの旅情に溢れている。 マシンは8台。いずれも実在のスポーツカーである。 + 登場車一覧 Lamborghini DIABLO VT 何かと激動の時代を生きたランボルギーニ社による4WDマシン。 デフォルト設定のマシンだけあり、性能にクセがなく使いやすい。最高速も今作のトップクラスに入り、「スピードの限界を目指す」という今作の基本に自然と触れられる。 Porsche 911 丸いフォルムが印象的な、1960年代生まれの今作最古参。 ちなみにかつてのポルシェは、EAがゲーム出演の独占契約を結んでいたことでも知られている。 ランボルギーニとうって変わって、速度控えめな代わりにコントロールがしやすい。デフォルト位置から順番に選ぶことで、マシンごとの個性を自然に理解することができる。 Chevolet Corvette ZR-1 43台のテストカーを犠牲に作られたという、4代目コルベットの最強形態。 最高速は比較的大きいものの、クラッシュした際はどうしようもないくらいスピンするリスキーな一台。 Ferrari 512TR 赤い車体が印象的な、最新型のフェラーリ(当時)。 ライバルカーはデフォルトでこれに設定されている。変える機会はそうそうないので、おそらく今作で一番多く目にするマシンである。 ランボルギーニ以上にとんでもない速さで爆走できるが、制動が厳しめ。エンジン音も暴力的で、えもいえぬスリルと恐怖を味わいたい人におすすめである。 Dodgh VIPER RT/10 1991年という比較的新しい時期に生まれたばかりのマシン。日本で唯一輸入されたダッジ・バイパーでもある。 ギアチェンジまでの速度域が広く、MTでも扱いやすいマシン。どうしてもHARDがクリアできないときは、これを使うと突破口が切り開けるかもしれない。 Acura NSX ホンダによる、ドライバー意識をモットーに開発されたスポーツカー。 最高速は控えめだが加速は速い。一方でギアチェンジの回数は増えやすく、MTだと意外に苦戦を強いられることも。 Mazda RX-7 サバンナの異名で知られる四輪駆動車。 加速が遅く、ギアチェンジの頻度も多くなるなど、今作では下位に入る性能。それだけに勝利すると達成感を得られる、上級者向けのマシンである。 Toyota SUPRA TURBO 名前の通り「上級スポーツカー」として販売された、トヨタの代表的なフラグシップカー。 同じ日本車のRX-7とは対照的に、重量感があって最高速も高い。エンジン音も重々しく豪快なので、重量級マシンのロマンに惹かれる人におすすめである。 オプションではアンチロックブレーキ(*6)・トラクションコントロール(*7)のON/OFF切り替えが可能。 難易度はEASY/NORMAL/HARDの3段階。 今作はAT/MTの設定が無く、代わりにNORMAL以下はAT、HARDはMTで固定となる。 ただ操作方法が変わるだけでなく、露骨に敵の強さも変化するため、HARDは全くの別ゲーとなる。 評価点 臨場感たっぷり、リアリティを突き詰めたレースシーン 今作は運転席から低めの視点でゲームが展開され、迫力あるドライブ体験を味わうことができる(第三者視点にも切り替え可)。 車内アングルの都合、視線の上下は大胆に隠れているが、あまり狭苦しさは感じさせない。かえって実車のプライベートな雰囲気が色濃く表現されている。 同様のレースゲームはアーケードゲームの『ラッドモビール』などが先駆けて実現していたが、今作は家庭用ゲーム機でいち早く同じ体験を提供している。 レースゲームとして見ると、今作のゲームスピードは控えめな方である。しかしその適度な重さが逆にリアリティを演出しており、ユーザーからの評価は高い。 今作で求められるのは反射神経よりも、重みのある車体をテクニカルに扱う技術力である。ハンドルを切ってから曲がるまでにはちょっとした時間差があり、大きな車を自分で動かす感覚が味わえる。 単にスピード感を求めたレースゲームには無いリアリティがあり、今作はもっぱら「シミュレーター要素に力の入ったレースゲーム」と評されている。 なおスピードが遅めと言っても、決して疾走感の無いゲームではない。実車相応に高速なゲーム展開はきちんと保証されている。 速さを求めてアザーカーを的確に避けるには、画面の奥を見て微妙なボタン操作を決めなければならない。一瞬の判断力が成否を分けるゲーム性は十分に保証されている。 カメラワークの作り込みも入念で、リアリティの演出に一役買っている。 微妙な地形の傾きがカメラの揺れに反映されたり、ハンドルを切った際に車体が反動でほんの少し戻ったりと、細かい部分までこだわりが見られる。おかげで没入感は高く、3Dゲーム黎明期としては中々の出来。 レンダリング3Dの質は3DOの中でも上位に入るクオリティ。 3DOは自由にポリゴンを扱えるようになった最初期のゲームハードだが、それゆえ高速な処理はまだ難しく、滑らかな表現を実現したメーカーは稀であった。 今作はゲーム内のポリゴンが違和感なく動き、先述したスピード感を十分に感じられるクオリティに仕上がっている。 処理落ちはほとんどなく、次世代ハードのアドバンテージを活かし切っている。 敵車は1台だけだが、AIがアグレッシブでなかなかのやりごたえ。 隣接すると積極的に追い抜こうとしてくる(しつこくクラクションまで鳴らしてくる)ほか、逆にこちらが抜きたいときも露骨に妨害を図ってくるなど、妙に人間臭くて立ち向かいがいがある。 厄介なだけあって、妨害を上手く決めたり、アザーカーに衝突させて切り抜けたりして上手く巻いたときは爽快である。 スポーツカーの監修はかなり本格的である。 車内のグラフィックは実車のそれを忠実に再現しており、スピードメーターやギアのグラフィックは8台それぞれに個別に用意されている豪華仕様である。 それどころか、エンジン音や走行開始時のタコメーターの動き、果てはギアを切り替えた時の効果音まで差別化されている入念っぷり。 単に走らせるだけにとどまらず、今作はスポーツカーの電子カタログとしても謙遜ない仕上がりである。 8台のスポーツカーには全て音声解説付き。ゲームと無関係な専門用語が飛び出す本格的な内容で、レースの合間にボーッと聞いているだけでも飽きさせない。 3DOらしく、各マシンには実写のプロモーションムービーが用意されている。マシン選択画面からいつでも見られ、ゲームだけでは表現できなかったカッコいい走りも存分に味わえる。 賛否両論点 自動難易度調整を搭載 この手のシステムには賛否が付きものだが、今作の場合もメリットとデメリットがはっきり現れている。 この機能はHARDではそこまで発動せず、NORMAL以下で顕著に働く。 今作のライバル車は、プレイヤーと差がつきすぎないように補正がかかるシステムとなっている。 距離がある程度近い時は普通の性能となるのだが、一定距離離れると実力が均衡するようにスピードが変化する。ライバルが一定以上の距離を引き離すことはなく、逆にライバルが一切追従してこなくなるような事もない。 このため、今作はレース中に大きなミスをしても勝ち目が消えにくく、最後までチャンスが残された親切設計となっている。 逆に自分が有利な状況でも、少し気を抜けば追い抜かれてしまうため、常に緊張感のある展開を楽しめる。 裏を返すと、敵が自分に合わせて動いてしまい、実力を発揮している感触が薄れるのが難点である。 特に、戦況によってはライバルがとんでもない速度で追い上げてくるケースもある。最高速が遅いマシンで先制すると勝ち目が無くなり、理不尽な思いをすることも多い。 補足しておくと、マシンごとの強弱はある程度差別化されており、全くゲーム性が無くなるほどではない。 問題点 主観視点でのプレイ中、HUDが一切表示されない。 具体的に言うと、現在速度は背景に書かれたスピードメーターでしか判別できず、ギアに至っては確認する手段がない。 一応、ギアチェンジ時には画面右下で切り替えアニメーションが流れるのだが、いちいち現在のギア数をカウントするのは困難を極める。 特にAT時、減速でギアが一気に下がると今の設定がわからなくなる。 どうしてもギアを確認したいときは主観視点を解除し、第三者視点に切り替えなければならない(このときはHUDが表示される)。 しかしカメラが切り替わる都合、通行量の多いタイミングでは危険すぎて切り替えできず、やはり不便である。 現在速度が背景のメーターでしか見られないのもかなり痛い。 今作は最高速の追求がやり込み要素として評価されているのに、具体的な数値が見られないのは何とももどかしい。 特にカーブ時はハンドルが邪魔でメーターが見えない事があり、MTの場合はギアチェンジの妨げになる。 隠しコマンドを使わない限り、アザーカーやパトカーを消すことができない。 このコマンドを知らない限り、記録を目指すとどうしても運が絡んでしまう。 しかもこのコマンドはゲーム内で明かされないうえ、使用中は結果を保存することができない。 モード数は控えめ 今作はライバルカーのレースと1人用タイムアタックのみ収録されており、コース数もわずか3つという、当時の業務用レースゲームのような規模に収まっている。 『Need for Speed』シリーズはカスタマイズ要素もウリとされているが、今作はまだ実装されていない。 また難易度調整とAT/MT設定が一緒くたにされているのも不便である。 NORMAL(AT)とHARD(MT)では難易度差がとてつもないため、「ATで最高難易度の練習をする」「低難易度かつMTでカジュアルに車種の違いを味わう」といった遊び方には向いていない。 ゲーム中のBGMは無い。 寂しい時は近くに音楽再生機器を用意しよう。 メニュー画面は「UIの悪い見本」と言っていいレベルで出来が悪く、慣れが必要となる。 画面によって決定ボタンがAボタンだったりPボタン(他機種でいうスタートボタン)だったり、項目の選択に左右キーが使えずいちいちLRボタンの使用を強要されたり、ライバルカーの項目だけ画面遷移が無かったりと、統一感がなく混乱する。 それでいて、操作の割り当てられていないボタンを押してもSEが鳴るため、どういう操作が行われたのか直感的にわかりづらい。 ちなみに、日本語版はこれでも改善された方である。 日本語版はメニューの各項目に「カーセレクト」「オプション」などのテロップが表示されているが、原語版はそれすらなく、写真が淡々と並べられているだけだった。おかげで説明書を読まないと何をすればよいのかわからない始末である。 ゲームオーバー時に煽ってくる警察が妙に棒読みで、なんともシュール。専門外のゲームスタッフが読み上げたのではないかと思えるくらいに演技がひどい。 結果的に煽り度が増しており、ゲームオーバーならではのペナルティとして上手く機能しているかも……? 総評 元来3DOは「既存のゲーム機や映像ソフトになかった新たな体験を提供する」というのが売りであった。 今作はそのアンサーを打ち出した、渾身のソフトの一つと言えるかもしれない。 今作は処理速度の限界を逆手に取り、リアリティの徹底追求に舵を切っている。 取材を基にした実車再現要素、カメラや操作感のこだわりが惜しみなく盛り込まれており、プレイヤーは家の中にいながらドライブ感覚を味わうことが可能。 「体験」を突き詰めた方向性は、起動時に表示される「A 3DO Experience from Electric Arts」というメッセージにも現れている。 『グランツーリスモ』に先駆けること3年、実車再現に力の入った本作は、世界中のユーザーから高い評価を獲得した。 今作の完全移植は存在せず、3DOを入手した際に優先的に購入推奨される作品の一つである。 可能であれば大きめの画面で、好きな音楽をカーステレオ代わりに流しながら遊んでみよう。 余談 3DO版発売当時、雑誌『3DOマガジン』の編集部宛には、今作を手に取ったプレイヤーによる最高速記録が特に募集していないのに次々と届いた。 文字通り、あまたのプレイヤーが「Need for Speed」の名の通り、速さの探求に魅入られたということなのだろう…… 完走タイムではなく、あくまで「最高速度」であるところに今作の特異性が現れている。 最終的な記録は327.2km/h(約203.3mph)であった。 今作のルーツは、EA(と当時のAccolade)が出したPCゲーム『Test Drive』シリーズである(米誌『Play Station Magazine』1998年5月号のインタビューより)。 開発スタッフの一部は、『オーバードライビン』にも参加している。 こちらも1987年に第1作が出てから現在の『Test Drive Unlimited(シリーズ)』に至るまで多くのシリーズ作が出ている。 画面構成やゲームシステムはこの作品が基になっており、実在のスポーツカーを使用しているのも同様である。 登場している車は、今作で運転できる車の先祖にあたる車種も多い。 リアリティを重視した作風にもかかわらず、ケレン味全開のクラッシュ描写が印象的。 今作はアザーカーやパトカーに少しでも接触すると、縦に180度回転してひっくり返ったり、横に360度スピンしたりなど、『マリオカート』さながらの大胆なアクションを見せる。 あれだけカメラワークや微妙な動きにこだわっておいて、ここだけ物理法則ガン無視なのはシュールそのもの。 これらの挙動は移植版も同様だが、ゲームスピードが異なるせいかそこまで違和感はない。3DO版のみ何とも言えない雰囲気に仕上がっている。 ふざけているのはスタッフも承知の上らしく、画面に映る車すべてを強制的にふっとばす隠しコマンドまで用意されている。 コマンドが成立すると、ボタンひとつで各車が猛烈に回転し、重力そっちのけで左に右に吹っ飛んでいく。負けが続いて嫌になったらこのコマンドでストレスを発散すべし。 作中のパトカーはプレイアブル車両同様に実在する。 このFord Mustang SSPは、前年に出たばかりの第3世代にあたる。 警察に捕えられた際のムービーシーンでも実物が使用されている。 原語版ではレース終了後にライバルカーのレーサーが語りかけてくる要素があったが、日本語版では何故か廃止されている。 これによりメニュー画面の構成も変わっており、ライバルの顔が描かれていた場所にはライバルカーが配置されている。 その後の展開 ユーザーから熱い支持を得た本作は、EAの人気シリーズの一角として同社を支えていく事になる。 後発作品やシリーズ全体の詳細はNeed for Speedシリーズを参照のこと。本項ではシリーズ1作目と関わりの深い要素のみ解説する。 移植版 この1作目はPC移植を挟んだ後、PSとSSに移植されている。 特に1996年の『オーバードライビンDX』(PS)はハードの普及率からしても、一番多くの人が手にしたバージョンと思われる。 この他、Atari Jaguar CDにも移植される計画が1995年のE3で発表されていたが、実現はしていない。 これらはタイトルこそ3DO版と同じで、コースや車種も引き継がれているが、ゲーム性は全くの別物。移植というよりはリメイクと言っても過言ではない。 こうした事情のためか、日本語版Wikipediaでは無印を差し置いて『DX』のみ記事が作成されている(2023年9月現在)。 最も大きな変更点は格段に向上したゲームスピード。 実車の重量感を意識した3DO版とはうってかわって、移植版はF1レースさながらの高速展開が繰り広げられる。クラッシュ時の停止時間も短く、ゲームテンポは爽快なものとなった。 同ジャンルの作品で例えるなら、『マリオカート』と『F-ZERO』くらいにスピード感が異なっている。 ただしゲームスピードの向上によって難易度がかなり上がっており、ライバルの強さも3DO版のHARD相当に固定されているため、1人プレイ時のゲームバランスは悪化している。のんびり最高速を目指す敷居は高くなり、操作が軽くなったことでリアリティが失われるなど、一概に改良とは言い切れない変化となっている。 この他、以下のような変更が行われた(PS版を元に解説)。 コースの追加。公道だけでなく、新たにサーキットも走れるようになった。 HUD表示、レース中BGM、UI構成など、本記事の問題点で挙げた不備は軒並み改善されている。 モード数も増え、新たにトーナメントや8台対戦、対人戦ができるようになった。特にPS版は、対戦ケーブル(*8)に対応した数少ないソフトの一つである。 スピン後の復帰が容易になった。3DO版はギアをバックに切り替え、実車の発進さながらに慎重なリカバリーをしなければならなかったが、移植版はその場で車体の向きを変えられるようになり、すぐレースを再開できるようになった。 残機制が廃止され、何回クラッシュしてもレースを継続できるようになった。 マシンの解説が3DO版から一新され、かなりボリュームが増えた。日本語版は長寿番組である「カーグラフィックTV」でナレーションを務めている声優の古谷徹氏が、さながら同番組を見ているかのようなナレーションで各マシンの解説を読み上げている。 アンチロックブレーキ・トラクションコントロールのオプションは廃止。 警官に捕まった際のムービーが廃止されたため、これを惜しむ声も。移植版は「GAME OVER」と書かれた違反切符を出されるだけの簡素なものになっている。 総合すると、移植版は3DO版に対する大きな長所と大きな短所が両方あり、どちらかのバージョンが上位互換というわけではない。手に取ったユーザーからはそれぞれが別物とみなされており、双方に異なる魅力があるため、両機種遊べる環境があるなら遊び比べてみるのも一興である。 日本向けセガサターン版は独自のローカライズで知られている。 こちらは原語版より後に発売されたのだが、なんと車種全てを日産の車両に差し替えての発売となった。タイトルも『オーバードライビン GT-R』と、マイナーチェンジであることを意識している。 この日産車仕様のバージョンは後にPSユーザー向けにも『オーバードライビン スカイラインメモリアル』のタイトルで移植された。大きな違いは登場車種が『~スカイラインメモリアル』のサブタイトルにもあるようにシークレットカーのR390(*9)を除き、 全てスカイラインの歴代車種だけである ことがSS版と異なる。 邦題の「オーバードライビン」は、その後のコンシューマ向けシリーズ作品のタイトルにもしばらく継承された。 1999年の『オーバードライビンIV』(PS)を最後にこの名称は使われなくなり、コンシューマ作品のローカライズも一旦打ち止めとなるが、2003年の『Need for Speed Underground』からは日本でも『Need for Speed』として発売されるようになった。 なおPC向けに発売されたタイトルでは「オーバードライビン」の名称が使われておらず、日本でも1作目から『Need for Speed』として発売されている。
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/4323.html
このページでは、『赤い刀』と『赤い刀 真』の2作を紹介しています。 赤い刀 概要 特徴 評価点 賛否両論点 問題点 総評 赤い刀 真 概要(真) 真モードについて 絶モードについて 評価点(真) 賛否両論点(真) 問題点(真) 総評(真) 余談 その後の展開 赤い刀 【あかいかたな】 ジャンル シューティング 対応機種 アーケード 発売・開発元 ケイブ 稼動開始日 2010年8月29日 プレイ人数 1~2人 判定 なし ポイント 『デススマイルズ』以降久々の横STG目玉システムのせいで大味なバランスキャラクター・世界観・演出面は好評 ケイブSTGシリーズ 概要 ケイブ製のアーケードシューティングゲームとしては最後の完全新規作品となっている横スクロールシューティングゲーム。 第二次大戦期の兵器と「忍者」を掛けあわせたような世界観が特徴。 タイトルの「赤い刀」については、(掻い摘んで言えば)本作に登場する味方や敵が「赤い刀」の持つエネルギーを動力に兵器を動かしているという設定に由来すると思われる。 そのためタイトルやキャラデザインに反して「剣劇アクション」ではない。「和風+ミリタリー」というありそうで無かった組み合わせの世界観となっている。 特徴 基本システムは他のケイブ製シューティングゲーム、特に同じ横STGである『プロギアの嵐』『デススマイルズ』とほぼ同様。全6ステージ1周エンド。ただし6面はボスとの戦闘のみ。 ボタンはショット、ボム、フルオート(オート連射)、本作最大の特徴である「念身」用のボタンの4つ。 ボタン連打による攻撃(所謂ショット)は「ディフェンスモード」、ボタン押しっぱなしで低速移動しながらの攻撃(所謂レーザー)は「アタックモード」と呼ばれている。 パワーアップの概念はなく、また自機の移動に応じて位置を変えられるオプションも初期状態で付いている。 『デススマイルズ』とは異なり地形の概念は存在しない。 最後の一機で敵弾に接触した時に手持ちのボムが残っているとオートボムが発動する根性システムがある。 本作の肝となるのは「念身」システム。専用の「祈導ゲージ」(緑色のゲージ)を使用することで自機を戦闘機から人型(幻忍の姿)に変化させることができる。~念身中には以下のような効果が得られる。 ディフェンスモード中は自機が盾を持ち、敵弾を全て跳ね返すことができる。 跳ね返した敵弾は消滅するわけではなく、円を描いてからまた自機を狙う軌道を取る。 また、敵に近づいてからディフェンスモードで破壊すると撃ち返し弾が発生する。 アタックモード中は自機が銃を持ち、敵を破壊することで敵弾を得点アイテム(金塊)に変えることができる。 アタックモード中に敵弾に接触した場合、祈導ゲージが0になり、念身が強制的に解除される。周囲の敵弾が弾き飛ばされるため即ミスにはならない。 祈導ゲージは敵を破壊して出現する緑色のアイテムを取得することで増加する。 祈導アイテムはアタックモード中のオプションに吸着し、敵や敵弾に接触させることで大きくなり、取得した時の祈導ゲージが増加するという効果がある。 また、自機の残機表示はゲージ状になっており、ミスして残機を失うとその分のゲージが祈導ゲージに変換され、祈導ゲージの最大値が増加する。 スコア稼ぎについては先述した念身で敵弾を金塊に変換していくのが中心になるが、やや特殊なシステムとなっている。 取得した金塊は念身している間は自機の周囲を回転。念身を解除することで取得することが出来る。 自機の周囲を回転する間は金塊が徐々に大きくなっていき、大きいほど高得点になるが、最大まで大きくなってから一定時間経つと消滅してしまう。 一回の念身で出現する金塊は最大256個まで。残機でピンチになるほど一度に念身できる時間は増えるが、得点稼ぎのためには小刻みに念身を行う必要がある。 戦闘機の状態で敵弾に接触するとミスになるが、敵弾とは別に一部の敵が赤いレーザーを撃ってくることがある。 このレーザーは接触しても即ミスにはならず、残機のゲージが少しずつ削れていき、ゲージが全て赤くなると1ミス扱いになる。念身中はディフェンス・アタックに関わらず無効。 レーザーに当たることで少しだけ祈導ゲージが溜まる、レーザーを出している敵を破壊するとレーザーが祈導アイテムに変わるなど、有利に使うことも可能。 自機は三機から選択する。設定上は各機が「赤い刀」と対になっており、刀を持つパイロットと幻忍(付き沿う存在)がペアとなって搭乗する。 壱号機「金盞花」は移動速度の速い前方集中型。通常時の長押し攻撃が強いものの、念身中の火力が低い。 パイロット「椿」は一見普通の少年……だが、実は女性(*1)。幻忍の「菫」は椿の妹分に当たる。 パッと見普通の先輩後輩のようなペアであるが、キマシタワー的な意味でやや怪しい関係。 椿のみ副作用が無いように見えるが設定集によれば「子供が産めない」副作用があると明らかになった。 主人公格ではないものの、1面及び4面ボス退陣おじさん「柊」と因縁があったり、真での追加ボス「薺」との関係など、準メインキャラといった感じか。 弐号機「胡蝶蘭」は中間移動速度とサーチするショットを持つバランス型。念身中は設置型レーザー。 パイロット「西園寺牡丹」は今作におけるヒロインで中心人物的存在。盲目美女(*2)というややマニアックな属性持ち。幻忍は牡丹の兄である「西園寺桔梗」はその女性的な名前とは裏腹に熱血漢。但しシスコン気味。 仲の良い兄妹で、王族である彼らが祖国に謀反を起こすというのが今作の大まかなあらすじである。ポスターやパッケージに描かれているのもこの二人。 参号機は「八重桜」移動速度の遅い広範囲攻撃型。念身中のアタックモードは射程が短いが威力が高く、通常時の強さもあって本作最強の機体とされる。 パイロットはお婆ちゃん(17歳)「紫苑」(*3)、幻忍はロリ担当「鈴蘭」(16歳)。実年齢1歳差の祖母と孫である。 衝撃的なエンディングでも話題になった。「死ねや!!このあばずれがっ!!」 「真」の追加ボイスでは柊や秋明菊に小物扱いされるなど、ネタキャラ方面の色付けが濃くなった。 評価点 念身は弾幕系シューティングゲーム特有の「弾に囲まれているが死んでいない」という感覚をさほど技術を要さずに出せるようなシステムになっており、遊びごたえがある。 遊びごたえはあるが、攻略し甲斐のあるものとは言いがたい。詳細は後述。 和風スチームパンク風のグラフィックや世界観は他のシューティングゲームで似た例のない独特なもの。使用基板の影響で解像度は粗いが高品質。 『ディメンションゼロ』『神撃のバハムート』で知られる虫麻呂氏の美しいキャラクターイラストも評価が高い。女性キャラは美人揃いで、男性キャラはイケメンから渋いおじさんまで格好良いキャラが揃っている。 ヒロインである西園寺牡丹の絶対領域に目を奪われた紳士諸君も多いのでは無かろうか。 ストーリーはごくシリアスだが、ケイブのゲームらしく「馬鹿っぽい」点が多い。 1面ボス撃破時に「退陣ッ!!」という台詞とともに画面外に逃げていくボス。迫真のシャウトとは裏腹な滑稽さがネタになった。 空中であるにもかかわらず戦艦や蒸気機関車、陸戦車などの兵器が登場するなど無茶苦茶な場面が多々見られる。 4面は戦闘機なのに水中戦。しかも大型潜水艦型の中ボスに追われて浮上するも、中ボスも一緒に浮上し戦闘になるというアツいのかシュールなのかわからない展開。 しかもこの潜水艦、浮上の際に空母のような大型戦艦に変形するというおまけ付き。敵メカだけなら彩京STGシリーズやむちむちポーク!等に負けないぶっ飛んだズンドコメカの祭典である。 ゲーム中画面に出てくる人間キャラは中型機とほぼ同サイズ。よく考えるとどう見てもおかしい。 一応念身は巨大な人間になるという設定なのでこの縮尺は間違いではない。 これらは普通のゲームなら問題点または賛否両論点ではあるが、ケイブのゲームとしてはいつものこと・むしろ賞賛に値する要素である。 梅本竜氏によるBGMの評価は高い。 メロディアスなBGMやステージとのシンクロなど勘所はしっかり押さえている。 日本が舞台ということで日本の楽器が主に使われているが、それと併せて使われている打ち込みギターの音色と悲壮さの漂う格好良いメロディが本作の世界観と非常にマッチしている。 声優が豪華。今作ではベテラン声優である堀内賢雄氏(*4)率いるケンユウオフィスの所属声優が担当。 前述の「退陣ッ!!」は堀内氏の担当キャラ。非常にいい声である。 他のメンバーも外画の吹き替えメインの実力派声優が揃っている。 賛否両論点 結末がやけに欝。 ケイブのシューティングはほろ苦くやや切なさを残す内容のエンディングが多いが本作も例外ではない。とはいえ、ピアノの旋律が展開と相まって切なさを誘うエンディングBGM・スタッフロールが始まると同時に流れるメインテーマのアレンジなど、印象的で余韻を残す味わい深いエンディングとなっている。 壱号機パイロットだけでもかなり欝だが、参号機パイロットはそれに輪をかけて悲惨。参号機の展開は欝を通り越してもはや伝説と化している。 一方で弐号機は感動エンド。主人公ペアということもあってか、やや優遇気味。 + EDの簡単な展開、ネタバレ注意 壱号機 パイロットである椿が限界を迎えたために命を菫に託すも、菫も椿の跡を追うように自刃。 純粋に暗い上に、参号機のような突き抜けた何かも無い。一番不遇に見えるがBGMと椿に寄り添うように死ぬ菫のイラストが相まって悲壮だが美しく良い百合心中と評価されつつある。 弐号機 桔梗が限界を迎え消滅し、一人ぼっちになり泣き崩れる牡丹だが、桔梗の命が牡丹の目に宿り視力が戻り、牡丹が希望を取り戻す。 エンディングの中でこれのみ希望がある感動的な終わり方をする。余談だが目を開いた牡丹はオッドアイという更なるマニアックな属性を手に入れる。最後の1枚絵がかわいい。 参号機 紫苑が勝利を喜ぶも、鈴蘭により謀殺され命を奪われる。死ねや!!このあばずれがっ!!しかし呪いまで吸収してしまったために、今度は鈴蘭も老婆になってしまうという救いようの無いオチ。これがホントのロリババア。 このときの1枚目が巨大な鈴蘭を見上げる紫苑という(設定的には間違っていないが)かなりシュールな絵面で、シリアスな笑いすら零れ落ちる程。(ちなみに壱号機エンドでは椿も菫もほぼ同サイズで描かれている。) 問題点 念身の強さに起因する大味さ。 敵の攻撃自体はかなり激しいものの、念身中は祈導ゲージの許す限りほぼ無敵と言っていい強さを発揮できる。 その祈導ゲージも「高速リチャージ」というテクニックを用いることで最終ボスを含む殆どの状況で簡単かつ大量に稼ぐことが出来ることが決定打となり、システムを理解してからのクリアまでの難易度は『怒首領蜂大復活 Ver1.5』のストロングスタイル並と言える程。 1周エンド・真ボスなどは無しなのもあり、結果得点稼ぎ以外のやり込む余地が少ないと評され、ゲーム全体の盛り上がりにいまいち欠ける結果となった。 得点稼ぎについても独特で複雑な縛りから過去作品のような画面を埋め尽くすエフェクトといった快感に欠けている。 機体間のバランスが悪く、参号機が強すぎる。 参号機は通常時の長押しショットの仕様上(オプションを前面に突き出す形態)、上記のリチャージがやりやすい上に、念身時のレーザーは最大火力を誇る。念身時のレーザーの射程が非常に短いが、そもそも念身時は基本的に無敵なので弱点になっていない。 一方で壱号機は使いやすさこそ参号機を上回るが、肝心の念身中の火力が低く、ややゲームのシステムそのものとかみ合っていない。 弐号機はオプションの動きの仕様上リチャージがやりづらく、念身中もレーザー動きに癖がある割に参号機より火力が低い。主人公なのに……。 単純にクリアが目的なら問題は無いのだが、この作品自体がややストーリー性が強いことから、ゲームに慣れないプレイヤーが目当てのEDを見るのが大変になってしまっている。 その上参号機のEDが非常にアレなことになっているので……。 「ケイブシューティングはババアが強い」というある種の伝統を守ったことにはなる。本来はラスボスに対して言われていたことだが、今作のラスボスはババアではなくおじさんなので……。(*5)「そもそも強いのはババアではなくロリの方だろ」とか言ってはいけない。 一応フォローすると『デススマイルズ』シリーズのフォレット、『虫姫さまふたり』のアブノーマルパルムや、『怒首領蜂最大往生』のA-Sなど「露骨に強い機体」の例が無いわけではなく、「自機間でのバランスの悪さ」はむしろいつものことだったりする。 念身を使いすぎると処理落ちが多発し、最悪の場合フリーズが起きる。 4面ボスの最初の形態変化時に画面中央下~画面左下付近にいると謎の当たり判定によって撃墜されるバグがある。 総評 『デススマイルズII』とは異なり2Dグラフィックに回帰した結果、美術面の評価はケイブ製作品の水準レベルに達しており良好。 ならば本作のゲーム部分の評価を述べるなら、問題点にも書いた「大味」の一言に尽きるだろう。 念身は弾幕STGならではの面白さを提供するシステムでありやり応えを提供する一方で、その調整はプレイヤーが有利すぎるバランスになっている。 『エスプガルーダ』の覚醒と比べて通常時と念身時での変化が非常に大きい上、念身を除けばごく普通の(難しい)シューティングゲームであることもこうした大味さを強調することとなったと言える。 赤い刀 真 【あかいかたな しん】 ジャンル シューティング 対応機種 Xbox 360アーケード(NESiCAxLive) 発売・開発元 ケイブ 稼動開始日 【360】2011年5月26日【AC】2012年7月24日 プレイ人数 1~2人 判定 なし ポイント システムを1から作り直した真モード完成度は高いものの複雑過ぎて敷居が高い高画質化 ボイス追加により演出面は更に強化熱くなってきたぜ!! 概要(真) アーケード版の家庭用移植に加え、システムを大幅に変更した「赤い刀 真」モード、アーケード版をベースに再調整を加えた「絶・赤い刀」モードの3つのゲームを収録した作品。 家庭用移植ではおなじみのノービスモードも搭載している。 「赤い刀 真」モードは後にNESiCAxLiveの配信タイトルとしてアーケードに逆移植が行われた。タイトルも『赤い刀 真 for NESiCAxLive』に変更されている。 真モードについて 基本操作はほぼ同じ。4面と5面(新6面)の間に新たなステージ(5面)が追加され、全7面に変更された(これについては「絶・赤い刀」モードも同様)。 家庭用移植に際してHD画質に合わせた画質の向上やBGMのアレンジが行われている。 特に大きな変更が行われたのは「念身」システム。ざっくり言うなら「高威力の「カタナ」を発射するためのシステム」として調整されている。 敵を破壊するとアイテムが出現するが、ディフェンスモードでは鋼アイテムが、アタックモードでは祈導アイテムが手に入る。 鋼アイテムを手に入れることで「ハガネ」がストックされていき、念身を行うと自機の周囲にストックした分の「ハガネ」が出現。 ハガネは自機の攻撃と同時に発射され、ハガネが命中すると命中したハガネの分だけ「カタナ」が自機の周囲に出現。ハガネには接触した敵弾が消える効果がある。 カタナは自機が念身を解くのと同時に発射され、カタナの向きに直進していく。カタナは非常に威力が高く、また画面外まで貫通しながら進んでいく。 カタナで敵を破壊すると得点アイテム(金塊)が出現。金塊は発生してからの時間が短いほど取得時の得点が高く、カタナと一緒に画面前に進むことで高得点が得られる。 なお、祈導ゲージ切れで念身が解けた場合、ハガネやカタナは使われないまま消滅してしまう。 祈導ゲージがMAXの状態だと鋼アイテムの出現量が増える。なのでゲージが短い初期状態ではハガネ・カタナの回転率を上げやすいという一面もある。 念身中は通常版のようなディフェンスモード中の無敵やアタックモード中の弾消し効果などはなく、むしろ弱体化する面も大きい。 念身中に攻撃を当てると、ディフェンスモード中は鋼アイテムが、アタックモード中は刀アイテムが手に入るが、入手効率は悪い。 念身中に敵弾に接触した場合ミスにはならず残り祈導ゲージが減るのみになっている。ディフェンスモード中なら被弾時に周りの敵弾を少し消すことができる。 絶モードについて ありたいていに言えば「無印のシステムで真のステージに挑む」というモード。その他得点関連など調整がなされている。 但しノービスモード及び実績の解禁が無いため、「おまけ」という側面が強い。 評価点(真) 荒削り過ぎた原作のシステムを大幅に改良してゲーム性大幅アップ 一番の問題だった「念身中の無敵」を削除して「ハガネ」「カタナ」のシステムを導入し、ゲーム性や戦略性において大幅にパワーアップしている。 「ハガネ」「カタナ」が弾消し、火力源、稼ぎの全てに繋がるため、どのようにして使っていくか考えるのも重要。カタナ飛ばしによる金塊ジャラジャラは爽快感も高い。 機体により、ハガネとカタナの性能も変わるため、機体間のバランスも大幅に改善された。 壱号機は念身の無敵が無くなったことにより「普通のレーザー」である念身レーザーが見直され、カタナを狙い通り直線に狙える。「スタンダード機」という感じになり大幅に使いやすくなった。 そして無印で最強だった参号機は無敵が無くなり無双は出来なくなったものの、火力は健在。カタナは範囲を調整できるため攻守共に使いやすく、通常時の安定感も健在。 但し弐号機は後述。 演出面の強化 HD画質に合わせた画質の向上だけでなく、一部グラフィックが変更されている。 最も目を引くのが念身中のレーザー。無印では普通のレーザーだったが、今作では刀のグラフィックになった。 キャラクターのボイスもステージの冒頭や、ボス前の会話が追加された。 今までゲーム内で語られることが無かったキャラ同士の関係などがわかりやすくなった。 桔梗の「熱くなってきたぜ!!」「鮫のように噛み砕いてやるさ!!」や柊の「俺は正気だ!!」等、ある意味いつものケイブ。 アレンジBGMも原曲に引き続き梅本竜氏が担当。 大幅に曲調が変わるケイブのアレンジBGMとしては珍しく、原曲をベースに新たなフレーズを入れ込んだりするなど、アレンジというよりも「完全版」に近い仕上がり。ある意味別物になったゲーム本編とは対照的に、保守的な作りとなっている。 真ボス及び真エンドの追加 6面ボスまでノーミスで突破すると、ラスボスの西園寺芭蕉が「西園寺芭蕉・紅蓮」となって登場する。 撃破することで真EDに。通常EDと違い全機共通。 ハッピーエンドというか全員が平和を願う感動エンド。一部きれいな鈴蘭ルートといわれているとか言われて無いとか。 賛否両論点(真) ノービスモードについて 敵弾がほとんど減らず、「ハガネとカタナが集まりやすい」「念身中の返し弾が出ない」という調整になっているため、完全なシューティング初心者にはおすすめできない。 逆に言えば、「どんどん使って弾を消す」という考えられた調整。「STG経験はそこそこあるが今作を遊んだことが無いプレイヤー向け」と取れる。 問題点(真) 新システムが複雑すぎる。 一言で言えば「ややこしいシステムを排除して、もっとややこしいシステムを搭載」したということである。完成度は高いのだが、無印から変わり過ぎていてまず戸惑うこと間違いなし。 ある意味無印の目玉であった「念身中完全無敵」が完全に排除されているため、新システムを理解しなければ稼ぎどころかクリアもままならないであろう。 複雑なシステムによる高難易度化が災いして、せっかく導入されたはずの真EDに到達できない人が続出した。 しかもNESiCA版ではラスボスが強化されたため(後述)更に難易度が上がってしまった。 真ボスについて 条件こそ難しいが、ボムバリアが無いためそこまで辿り着ければボム連発でほぼ終わってしまう。初期形態に半安置があるため、真ボスというのには明らかに力不足である。 NESiCA版では安置が無くなりボムバリアが導入されたため、かなり手ごわくなっている(*6)。 ちなみに追加された真エンドは新規CG無し。BGMやセリフこそは新規のものだが、どことなく寂しい。 弐号機、というかほぼ西園寺桔梗関連 使いやすくなった壱号機と参号機に比べて、使いづらい調整が目立つ。通常形態はサーチショットをそのままに火力が向上して使いやすくなっているものの、念身時が無印に輪をかけて癖のある性能に。 ハガネ・カタナ飛ばしが「移動方向とは逆方向」。慣れれば8方向に自在に飛ばせるものの、慣れないうちは明後日の方向に飛ばしてしまうこと間違いなし。方向転換も遅いため軌道修正をしつつ飛ばしてもタイミングが悪いと結局変な方向に飛んでいってしまうことに……。 増えたボイスの方でも遺憾なく熱血キャラ・ネタ方面に強くなっている。 特に上記の「熱くなってきたぜ!!」について。3面中ボス出現時の牡丹の「熱源、後ろ!」に対しての答えである(と思われる)が、妙に言い方が楽しげ。その上、3面冒頭で「感情に流されるな・・・・牡丹・・・・」の直後に「熱くなってきたぜ!!」であるからつっこまざるにはいられない。兄さんが一番感情に流されているわ……。 『デススマイルズII』から続くある種の「家庭用完全版商法」 『デススマイルズ』と違いほぼ別物になっているものの、やはり批判の声は多い。 総評(真) 大味過ぎる原作を大幅に作り直し、かなりゲーム性の高いものにはなった。元々クオリティの高かった演出面もHD画質になりパワーアップし、総じてかなり完成度の高い仕上がりにはなっている。 しかし原作の大味なゲームバランス、ゲームとしての敷居の高さ、そしてデススマイルズIIと同じような売り方のためにあまり評価は高くないのが惜しいところである。 余談 浅田氏によると、『真』はかなり難産だったらしく、2013年5月のイベントのトークショーの過去話では「事件だらけ」と言われていた。 納期ギリギリまで『真』の目玉仕様が決まっていなかったものを、浅田氏が発案したアイディアを使うということで解決したとのこと。「突拍子も無く新しいシステムを入れる」という浅田氏の作風が良い方向に転がった珍しい一例といえる。 何故か他所のソーシャルゲームと結びつけられることが多い。 戦艦と刀剣をフィーチャーした今作はブラウザゲーム『艦隊これくしょん』と『刀剣乱舞』双方のヒットを予言していたのではないかとファンの間でネタにされるようになった。 キャラクターデザインを担当した虫麻呂氏は、後にデジタルカードゲーム『シャドウバース』のデザインを務め、注目を呼んだ。 その後の展開 ケイブのスマホアプリ「DODONPACHI MAXIMUM」に弐号機こと胡蝶蘭が参戦している。周りがSFチックな超兵器の中、ミリタリー色の強い今作の機体はかなり異色な存在。 もちろん牡丹と桔梗もボイスで参戦。前述の「熱くなってきたぜ!」はゲージMAXのボイスに変わり、「熱源、後ろ!」に対しても「追手か!!」と普通の会話になった。 但しリリース時期の関係か世界観の関係は「恋愛すごろく怒きゅ~ん」「ドン☆パッチン」と他のオールスター作品の出演は無い。(*7) それから暫くして同社スマホアプリ「ゴシックは魔法乙女」にて2019年10月14日のイベント・第5回ゴシック弾幕祭開催に合わせ、5面(真では6面)ボスである菖蒲&蘭がまさかの使い魔実装(*8)となった。 同イベントは「怒首領蜂」や「ケツイ」、「鋳薔薇」などの同社作品のステージとボスを登場させていたものの、元の作品に出るキャラの実装は無い状態が続いていた中での電撃参戦にユーザーは驚愕-PANIC-した。 使い魔ストーリーによれば戦車などを別次元から呼び出せる刀の力が何故かジルバラードに繋がってしまい、転送されてしまったとの事らしい。そして元の世界に戻るために物騒な手段に打って出るのだが…と言った内容。 ちなみに、アプリ通知では「戦車☆実装」と出ていたものの、さすがにキャラグラフィックや特殊攻撃などで戦車が出るような事はなかった。そりゃそうだ。 その後、2024年3月19日に開催された自社コラボイベント【弾幕五重奏-DanmakuQuintet-】にてやっとこさ牡丹と桔梗が使い魔として実装。 また、書き下ろしの牡丹には『ゴ魔乙』オリジナルキャラであるリリー用の衣装も付属。 今作に出演した声優のうち、堀内賢雄氏は『インスタントブレイン』に続投。ヒロインの一人である菫役の高橋まゆこ氏は『ネプテューヌシリーズ』にて企業キャラ「ケイブちゃん」役に抜擢されている。 また『NIN2-JUMP』に今作の出演者は出演していないものの、ケンユウオフィスの所属声優が声を担当している。 『赤い刀 真』をベースにアーケード基板「exA-Arcadia」への移植及び追加要素を実装した『赤い刀 EXAレーベル』が2021年7月に発表。2022年2月17日より稼働開始した。 『怒首領蜂最大往生 EXAレーベル』と同じくケイブはライセンス供与、開発はShow Me Holdingsが担当。 モードは「オリジナル(HD版)」「赤い刀 真」「絶・赤い刀」に加えて新モードとして「EXAレーベル」が追加。また全モードでコマンド入力により高難易度の「極モード」にすることができる。 2022年12月15日に『赤い刀 真』がPS4/Switch/XboxOne/Steam向けに移植された。移植は『デススマイルズ』に引き続きシティコネクション。 360版をベースに松本大輔氏による新規アレンジBGMが追加されている。なお、上記『EXAレーベル』は未収録。
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/9250.html
役満 【やくまん】 ジャンル テーブル(麻雀) 対応機種 ゲームボーイ 発売元 任天堂 開発元 インテリジェントシステムズ 発売日 1989年4月21日 定価 2,600円 書換 ニンテンドウパワー2000年3月1日/800円 F×1・B×0 プレイ人数 1~2人 判定 なし ポイント 実質的にゲームボーイ版無印麻雀初の対戦可能な麻雀ゲーム 役満シリーズ無印 / 天国 / アドバンス / DS (Wi-Fi) / Wii / 鳳凰 概要 内容 評価点 問題点 総評 その後の展開 余談 概要 1989年4月21日に任天堂が発売した麻雀のゲームで、ハードであるゲームボーイのローンチタイトルの1つ。 同じくローンチの『ベースボール』や準ローンチ(5月発売)の『テニス』のように無印なタイトルではないがゲームボーイのローンチらしく基本形なベーシックタイプの麻雀ゲーム。 テレビに繋いで画面1つで遊ぶファミコンなどの据置の麻雀ゲームではできなかった対戦プレーが可能になっている。 内容 最初にルールを決める。下記の通りで適用する場合は〇、禁止するならば×。他にBGMの有無も同時に決める。デフォルトはフリテンリーチのみ×で、それ以外は〇。 喰断後付喰ってのタンヤオ・役の後付け和了りに加え、片和了りを認めるかどうか。一般に言う「アリアリ・ナシナシ」の選択のことで、×ならいずれも不可能。 フリテンリーチフリテン状態でもリーチをかけることができるかどうか。 ノーテン親流親がノーテンならば親の権利が相手側に流れるかどうか。×にすると子が和了るまで親が流れない。 南入東場が終わってから南場に入るかどうか。×にすると東場のみになる。 ツモ・ピンフツモ和了り時の平和の複合(いわゆるピンヅモ、ツモピン)を認めるかどうか。〇なら平和・ツモで2飜20符、×にするとツモのみ1飜30符。 ファミコン版無印タイトルの『麻雀』にあったヤクナシやノーテンリーチ、ノーテン和了、フリテンといったチョンボは「ツモ」「ロン」「リーチ」を選んだ時点で受け付けないので発生しない。 同作の「上級」にあった時間制限もない。 おおまかなルール。 持ち点はお互いに30000点からスタート。ハコテンによるトビはなく0点未満はマイナスで計算される。 上記に伴って持ち点が1000点を切っていてもリーチはできる。 役満の複合があっても1つ分の得点(親48000点/子32000点)。ただし役名は対象の分だけ並べて表示される。 「オーラスでの親和了り止め」は採用されていない。 焼き鳥関連の罰はない。 無印『麻雀』ではドラは当該牌だったが、ちゃんと時代に合わせて次位牌ルールが適用されている。 1人プレイの場合、対戦相手をCPUプレイヤーを5人(下記)の中から選んで開始。 キマジメタロウ基本的にはリーチ主体だが時としてチーやポンなど喰いもし不利な状況では降りるなど守りにも精通した正攻法の麻雀をする。カーソルの初期位置になっているので弱そうに思えるが実は役満和了頻度では後述の「センニン」に次ぐ上に、際立ったクセがなく攻守のバランスが良い正攻法というだけ(他はみな固有のクセがある)なので決して「最弱のザコ」などではない。 ヤミノハンゾウ常に鳴きを使わずリーチもかけないので手配の動向が読みにくく降りやすいので守りに強い一方、役の組立ては自力のツモのみなので和了が遅く小さい役が多くなるので攻めに弱い…はずなのだが何故かテンパイを滅多に外さないし一度和了れば連荘しまくる。イカサマ濃厚 リーヅモヒメコテンパイしたら必ずリーチをかけてくるため鳴きは使わない。必ずリーチをかけてくる以上満貫などそれなりの大役を取ってくるが、裏を返せば降りないのでこちらも大役を狙いやすい。 ナキノジョー鳴きを多用してスピードで勝負してくるためテンパイ率が高い。反面、手牌が見えやすいので、こちらとしても的を絞りやすい。 ヤクマンセンニン説明書に「彼の和了は必ず役満」とあり基本的に役満ばかりを狙ってくるには違いないが実は必ず役満とは限らない。もちろん和了られると高確率で役満なのでまず大きな痛手を受けるが、根本的に役満のいずれか狙いに加えて鳴きの頻度は「ジョー」に次いで高く、捨て牌からも何を狙っているのか絞りやすいので逃げの目安はある程度つけられる。 半荘が終わると、自身とそれぞれの相手のスコアが累計で記録される。 もちろんバックアップはないため電源を切ると消える。 特にクリアという概念はない。『役満』というタイトルはあるが無印タイトルのようなゲーム性。 評価点 しっかりと中身の構築された麻雀。また対戦相手のロジックパターンも豊富。 ファミコン版の無印『麻雀』はCPUのロジックが構築されておらず、ほとんど運だけの勝負になっていたがその点は解消されている。 CPU5人はそれぞれ個性を持っている。 ケーブルにより対戦ができる。 ファミコンなどの据え置き型ゲームでは不可能な「お互いの画面が見えない」という利点を早速活かしている。 ルールの細かい設定が可能。 ゲームボーイのローンチでもあり無印なタイトルでこそないものの『ベースボール』や『テニス』といったベーシックスタイルのゲームだけに、ただ麻雀ができる、ファミコンではできなかった対戦麻雀ができるだけでも充分だが、細かいルールまである程度の変更ができるのはプレイヤーの好みに対応できている。 問題点 複合役満が無効。 それ自体滅多に起きるものではないので、せめてダブルだけでも複合を採用しても良かっただろう。 ただし現実の麻雀でも地域ルールなどで複合役満はカウントしない場合もある。 ゲームクリアなどの最終目標が無い。 エンディングが無いのはもちろん、ハイスコアの記録などもなく、純粋に麻雀をプレイするだけ。 セーブ機能がないのは仕方ないとしても、何かしらの達成感のある目標が欲しかったところ。 総評 携帯ゲームの始祖的存在ゲームボーイのローンチだけあって、特にエンディングなどもなく得点を突き詰めていくだけというシンプルな構成。 特筆した点こそ少ないが様々な相手のロジックがあったり、限られた中でありながら細かい設定ができたりと当時のファミコンの麻雀ゲームと並べても及第点な水準は満たせている。 ファミコンをはじめ据置ハードではできなかった対戦もできるなど目の付け所も良い。 その後の展開 1991年6月28日、任天堂からファミコンソフトとして『新4人打ち麻雀 役満天国』が発売。 本作と同時にファミコンの『4人打ち麻雀』双方の名前を受け継いだ続編という位置付けになっているが、開発元はどちらとも違う。 2005年3月31日に発売された『役満DS』(ニンテンドーDS)は本作と同じインテリジェントシステムズが開発に携わっている。 この作品ではマリオシリーズのキャラがプレイヤーキャラとして登場している。 2023年2月9日に『ゲームボーイ Nintendo Switch Online』にて本作が初期配信タイトルの一つとして追加された。 余談 本作のタイトル『役満』のルーツは単に麻雀の最高役というだけでなく元々任天堂が販売していた麻雀牌セットの名前にある(CMでは「ヤクマン」とカタカナ表記されていた)。 任天堂が1983年2月に発売した電子麻雀ゲーム『コンピュータマージャン役満』にもそれは引き継がれている。 ゲームウオッチシリーズではないが、その技術を用いて作られている。 そう考えるとファミコン時代の無印の『麻雀』こそ、ある意味異例と言えるかもしれない。 1993年3月19日に同じゲームボーイで『ダブル役満』というまるで本作の続編のようなタイトルの麻雀ゲームが発売されているが、こちらはバップによる発売なので特に関連はない。 パッケージやカートリッジのイラストに描かれている人物は『大乱闘スマッシュブラザーズX』でシール化されたが、「役満の人」というひねりがない名前だった。 のちに『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』で同じものがスピリットに収録された際、「役満仙人」と改められており、この人物は「ヤクマンセンニン」ということが明らかになった。 初期パッケージ及び任天堂ホームページでの役満仙人のイラストはよく見ると多牌(*1)している。 ホームページのイラストは更新停止しているからか修正されていないが、後期パッケージ及びスマブラのスピリットではちゃんと修正されている。
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/8535.html
スーパーファイヤープロレスリング 【すーぱーふぁいやーぷろれすりんぐ】 ジャンル スポーツ(プロレス) 対応機種 スーパーファミコン 発売・開発元 ヒューマン 発売日 1991年12月20日 定価 8,800円 プレイ人数 1~2人 判定 良作 ポイント スーパーファミコンで順当にグレードアップシリーズで唯一あの世界の巨人モデルが登場 ファイプロシリーズ 概要 内容 登場レスラー ゲームモード 評価点 問題点 総評 その後の展開 余談 概要 ヒューマンの看板プロレスゲーム『ファイヤープロレスリング』(通称『ファイプロ』)シリーズの一作。 1989年にPCエンジンで始まったシリーズで、任天堂ハードとしてはシリーズ初作品となる(*1)。 内容 組み合って腰を落としてコマンドを入力することで技をかけるスタイルは旧来通り。 他には立ち技、グラウンド技、場外への技(ブランチャー、トベ・コンヒーロ等)、なども旧来通り。 ストンピングやサッカーボールキックはキック技ながら絞め技同様、方向ボタンを連打して外す形になる。 フォールを返すのはBボタンの連打。 本作の特徴としては、相手を起こした時に体力が少ないとグロッキー状態のとき頭上に星が回るようになった。 登場レスラー ()内はモデルの実在レスラー レギュラーレスラー(21人) ビクトリー武蔵(アントニオ猪木) グレート司馬(ジャイアント馬場) サンダー龍(天龍源一郎) アックス・ドゥガン(ハルク・ホーガン) ハリケーン力丸(長州力) 旗本真也(橋本真也) 梶原丈(藤原喜明) 桧垣誠(船木誠勝) 氷川光秀(三沢光晴) トミー・ボンバー(ジャンボ鶴田) スーパー・カイザー(獣神サンダーライガー) ファントム・ガイ(ペガサス・キッド) ブラディ・アレン(*2)(バッドニュース・アレン) マッド・タイガー(タイガー・ジェット・シン) ナイト・ブラスター(ホーク・ウォリアー) アイアン・ブラスター(アニマル・ウォリアー) ブレード・武者(グレート・ムタ) アストロ・ブラスター(アルティメット・ウォリアー) 冴刃明(前田日明) ヒットマン・セイバー(ビッグバン・ベイダー) スター・バイソン(スタン・ハンセン) 隠しレスラー(3人) ※3人とも基本的には使えないが選択画面でコマンドを入れることで選択可能となる。 ビッグ・ザ・グレート・ブル(*3)(ブルーザー・ブロディ) 「公式リーグ戦」タッグ(パートナーはスター・バイソン)のラスボス。 若元一徹(山本小鉄) 「レスリング道場」の師範。 力皇斬(力道山) 「公式リーグ戦」シングルのラスボス。 ゲームモード 公式リーグ戦 リーグというよりは、ステージクリア的なモード。シングルなら20戦、タッグなら8戦。 このモードのみオプション設定のレベルが影響されず、固有の15段階のレベルがありシングルなら3戦、タッグなら1戦ずつ上昇。 1巡目は10分間1本勝負。リーグ戦と称している通り勝ち点方式で、勝ち点がクオリファイ(規定点)に達すれば次に進めて、足りなかった場合はゲームオーバーとなる。勝ち点は「ピンフォール勝ち=5点」「リングアウト勝ち=4点」「時間切れ引分け=2点」「負け・両者リングアウト引分け=0点」。クオリファイは2点から始まり1戦につき最後まで5ずつ上昇する。必然的にリングアウト勝ちは3回までで、4回目以降のリングアウト勝ちは、勝ちは勝ちでもゲームオーバーになる。(*4)1巡目の最終戦を突破すると、2巡目開始のパスワードが得られる。それを入れることで2巡目が始まる。 2巡目は60分間1本勝負で、勝ち点制ではなくなりとにかく勝てば次へ進める。2巡目ではシングルなら20戦目の後、タッグなら8戦目の後に隠しレスラー(シングルは力皇斬、タッグならスターバイソンとB・Gブルのコンビ)との最終試合があり、これに勝てばエンディングとなる。最終試合はランバージャックマッチ(*5)となり、場外に落ちても自動的にリングに戻されるのでリングアウトが狙えない。また、1.2巡目ともプレイヤーのレスラーとの試合はスキップされ同キャラ戦にはならないが、最終戦だけはプレイヤーが隠しコマンドによってB・Gブルや力皇斬を使っていても変わらない。 コンティニューは無制限に可能。ただし、その回の勝ち点は無効になる(*6)。 エキシビジョンマッチ フリー対戦モードで「シングルorタッグ」「1本勝負or3本勝負」「ランバージャックの有無」を選択できる。 基本的に同キャラ戦はできないが、裏技により行うことが可能。 ただ、グレート司馬のみ、この方法では対戦できない(*7)。一応、タッグにして片方が「武蔵 司馬コンビ」を選んで、もう片方がEDITで司馬を含む誰かとのコンビにすれば司馬同士の対戦も可能。 オープンリーグ戦 フリーで行えるシングルマッチの総当りリーグ戦。参加できるレスラーは最高8人(プレイヤー人数も任意)。 勝ち点は「ピンフォール勝ち=5点」「リングアウト勝ち=4点」「時間切れ引分け=2点」「負け・両者リングアウト引分け=0点」 リーグ表の中から任意に順番で消化し全試合を消化後順位を発表。 イリミネーション 5対5(「先鋒」「次鋒」「中堅」「副将」「大将」)の団体戦。 負け、引分けで脱落し、大将を破れば勝利。 予め用意されているチームカード(下記)を使ってもいいし、自由に5人を選ぶこともできる。 固定チームのカード 「大和戦士」(龍・梶原・トミー・司馬・武蔵) VS「黒船軍団」(バイソン・ガイ・アストロ・セイバー・ドゥガン) 「武蔵軍団」(力丸・カイザー・旗本・セイバー・武蔵) VS「司馬軍団」(アイアン・氷川・トミー・バイソン・司馬) 「ストロングレスラー」(冴刃・トミー・龍・ドゥガン・武蔵) VS「ヒール軍団」(武者・アストロ・アレン・セイバー・タイガー) 「テクニカルファイター」(カイザー・氷川・桧垣・冴刃・梶原) VS「パッワーファイター」(セイバー・ナイト・アイアン・バイソン・ドゥガン) レスリング道場 若元一徹がゲームのやり方を教える練習モード。 レベルによって練習できる技が変わる。 プレイヤーはどういう訳かハリケーン力丸で固定。 選べてしまうと現実では山本小鉄より先輩にあたるアントニオ猪木(ビクトリー武蔵)(*8)やジャイアント馬場(グレート司馬)に教えるシュールな光景になるので、それを避ける配慮とも考えられる。 評価点 更に豊富になったゲームモード。 旧来通りのモードに加えて新しく「オープンリーグ戦」が追加され更にゲーム性が幅広くなった。 PCエンジン版にはなかったレスリング道場(練習モード)により初心者でも順当に慣れていける。 組んでからボディスラムという基本に始まり、走り技なども順番に練習していけるので従来作未経験でもすぐ馴染める。 旧来通り、スピード感のあるゲーム性。 更にバリエーションが増えたレスラー わずか4か月前発売の前作『ファイヤープロレスリング2nd BOUT』から更に4人も増えている。 ただ、同じレスラーモデルでも名前が違うのはちょっとややこしいかも… LLサイズレスラーの登場。 ジャイアント馬場をモデルとする「グレート司馬」が登場。 あの有名な32文ロケット砲(*9)もしっかり再現。 他のレスラーと違って倒れたりすると揺れが発生するなど特にこだわりが見える部分。 ただ、体重では「スター・バイソン」や「ヒットマン・セイバー」等それ以上に重いレスラーがいて、彼らでは起こらないので、いささか不自然に感じられる一面もある。 問題点 オープンリーグ戦はCPU同士の試合をスキップできず、フル観戦しなければならない。 特に自分対CPU7人のフル参戦のリーグを行うとなると、その消化にとんでもなく時間がかかる。 中断もできるがパスワード制でしかも相当長い。 キャラの無理な代用。 公式リーグ戦の1巡目を終えた際に一度エンディング(表彰式)となるのだが、その際には「リングの上でトロフィーを受け取ったプレイヤーが喜んでいる所にマッドタイガーが乱入して炎を吐いてプレイヤーを倒し、そのまま今度はトロフィーに向かって炎を吐いて焼き払ってしまう」という内容となる。これ自体は問題ないのだが、マッドタイガーがプレイヤーの場合(タッグ含む)、ブレード武者に差し代わり、更にマッドタイガーとブレード武者のタッグの場合、なんとブラディ・アレンがその役になる。 ブレード武者の時点で「口から何かを吐く技(毒霧)を使うからということで武者が代役」という解釈でもかなり無理があるのだが、アレンに関してはモデルとなったバッドニュース・アレンまで含めて考えても炎を吐く要素がない。 タイガーもプレイヤーが使うキャラである以上そのケースの補填は必要な事だが、この代役対応はツッコミどころしかない。ラスボスにあたるB・Gブルや力皇斬が力で破壊、またはトロフィーを奪う形にすれば代役は必要すらなかったのではないだろうか。 女子レスラー(レフェリー)も声が男。 パスワードで「WOMAN」と入れるとレフェリーが工藤めぐみ似の女子レスラーになるサービス的な要素があるのだが「ブレイク!」など声は1パターンしかないのでモロに男の声(*10)。 ダッシュやハンマースルーでレスラーとぶつかれば流血したりと凝っている割に肝心所が台無しではサービスにもならない。 総評 レスラーのバリエーションが増え、ゲームモードもさらに充実し、初心者でもプレイしながら慣れることができるレスリング道場なども完備されシリーズファンも新規層も分け隔てなく楽しめる。 あからさまに欠点と呼べるのは上記のリーグ戦のCPU同士の試合をスキップできないという点ぐらいしかない。 見た目としては旧来のPCエンジンシリーズと変わり映えしないため、いささか物足りなく思える点は否めないが、それは元々その時点でハイレベルなものであったためそこはむしろ旧来作を褒めるべきだろう。 その後の展開 直近ではメガドライブで『サンダープロレスリング列伝』を1992年3月27日発売。 大技はエネルギー消費でしか使用できないというシリーズで唯一の要素を持っている。 ファイプロシリーズ八勝のPCエンジンでは『ファイヤープロレスリング3 Legend Bout』を1992年11月27日発売。 後に恒例となるレスラーエディットを初搭載。 本作の直接的続編ではスーパーファミコンソフト『スーパーファイヤープロレスリング2』を1992年12月25日発売。 クリティカル機能を初搭載(この作品では梶原丈の関節技のみ)。 だが全体的には同キャラ戦と『マルチプレイヤー5』による4P操作に対応した程度で本作との差があまり感じられない。 余談 増田雅人氏のボイス レスリング道場で失敗すると師範若元一徹が「ダメだ!」と一喝するのだが、この声はファイプロの生みの親である増田雅人氏によるもの。 LLサイズという独自の区分を引っ提げて堂々登場したグレート司馬だが、この1作限りで以後は権利問題により姿を消すことになる。 これについては馬場の妻である元子夫人が「馬場を勝手に使わないでください」とヒューマンにクレームを入れたことが原因とされている。 1995年12月発売のシリーズ作品『スーパーファイヤープロレスリング X』で坂口征二をモデルとする「ストロング信濃」というレスラーが登場し、巨体でまんざら似ていなくもないため彼が馬場モデルと誤解されることが多かった(*11)。 固定チームカードの「武蔵軍団」VS「司馬軍団」はもちろんB・I砲モデルの両者がその陣営レスラーのモデルを引き連れてのドリームマッチ、つまり「新日本VS全日本」である。 しかし何故か司馬軍団(全日本モデル陣営)に日本での活躍の舞台は新日本プロレスだったアニマル・ウォリアーモデルのアイアン・ブラスターが入っている。これは彼の実弟にあたるジョニー・エースの代役と思われる。 とはいえジョニー・エースの全日本参戦は1988年からと当時は歴が浅かったので、こんな無理矢理な代役を立ててまで入れるぐらいなら1977年~1990年途中と長い間全日本に所属していた天龍源一郎モデルのサンダー龍の方がしっくりくるはずなのだが、やはり前年に全日本に対して大勢の選手を引き連れて移籍するという、まるで離反のようなことをしたばかりなので敢えて入れなかったのだろう。 また天龍は退団の意思を伝えた折に馬場から「それだけの意思を持って出ていくなら止めないけど、その代わり挫折しても戻ることは許さないよ(*12)」と言われている。そのためこの一件を知っていれば、尚更入れるわけにはいかないだろう。
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/1396.html
バトルギア4 【ばとるぎあふぉー】 ジャンル レースゲーム スタンダード筐体プロフェッショナル筐体 対応機種 アーケード 使用基板 Taito Type X+ 発売・開発元 タイトー 稼働開始日 無印 2005年6月20日 Tuned 2006年11月28日 サービス終了日 共通 2019年3月31日23時59分 1プレイ 100~200円ネットエントリーキー標準価格500円時間貸しフリープレイ標準対応 判定 無印 シリーズファンから不評 ゲームバランスが不安定 Tuned スルメゲー ポイント 黒歴史扱いされた無印時代Tunedでの充実したシステムシリーズ史上初のチューニングシステムアーケード屈指のリアルレースゲーム タイトー最後の自社開発レースゲーム(*1)これまで以上に猛威を振う補正の数々異例のオンラインサービス継続期間 備考 プロフェッショナル筐体は Tuned 限定 バトルギアシリーズ 概要 筐体説明 モード説明 収録車種 コース 評価点 賛否両論点 問題点 総評 その後 オンラインサービス稼動時の詳細 概要 『バトルギアシリーズ』最終進化系を銘打った最終作。 無印の頃は挙動等を含め前作『バトルギア3』とは別物と感じられる位に難しく、取っ付き難かった事もあり、致命的なユーザー離れを引き起こしてしまう。 アップデート版である『 Tuned 』でゲームシステムを見直し巻き返しを図るも、時既に遅し。失った栄光を取り戻すことは叶わなかった。 しかし今まで以上に本格的になったゲーム内容等は、結果的に時を経て熱心なファンを獲得する事となり、オンラインサービスが終了した現在でも少数ながらも根強い人気を有している。 筐体説明 どちらも前作の筐体をベースにシングル筐体化・チューニングカー風のロールケージをあしらったデザインとなった。 装備類は従来のスタート兼ライト、視点切り替え、ハザードのボタン3つとサイドブレーキに加え、オーバーテイクスイッチ、TXSURROUND(5.1chサラウンドシステム)が両筐体に追加された。 スタンダード筐体 赤基調の筐体色とロールバー以外、前作の筐体と殆ど同じ外見。無印はこの筐体のみで稼働しており、現在は無印からDVDとドングル交換で Tuned へコンバージョンした物が殆ど。 プロフェッショナル筐体との差異はモニターが「800×600ピクセル 29インチ CRT」、大型フロントスピーカー無し、アップダウン式シフトレバー、キーベンダーがモニター右横にある点。 既に末期を迎えつつあったブラウン管モニターを使用している影響か、稼働から10年以上が経過しブラウン管モニターも絶版となった現在ではプロフェッショナル筐体以上に残存数が少ない。これはSD筐体のCRTモニターは使用基板の映像出力に対応した特殊な専用品で他機種からのブラウン管モニター移植が不可能な為である。その為現在国内で現役稼働しているSD筐体は液晶モニターに換装されている個体が殆どである。 プロフェッショナル筐体 ※Tunedのみ Tuned 稼動開始時に海外市場前提に生産された数量限定筐体。その為日本国内よりも海外での稼動数が非常に多かった点も特徴。スタンダード筐体よりも一回りほど大きくなっている。 6速Hゲートシフトとクラッチ、大型フロントスピーカーが追加されており、より本格的な運転を楽しむ事が可能となっている。 シフトレバーは設定に合わせてミッション機構が自動で切り替わる便利設計であり、まさしくプロフェッショナルである。 モニターも「1360×768ピクセル 32インチワイド液晶」に変わっており、スタンダード筐体より画質が良くなっている。またキーベンダーがコイン返却口右横に変更されている。 上述の通り日本では希少な存在ではあるが、液晶ディスプレイに変更された影響で故障時のモニターの換装が容易な為なのか、サービス終了後の現在も日本国内で現役稼働しているのは意外にもこの筐体が多い。ゆえにオンラインサービスが終了した現在では輸出したPro筐体を日本国内へ逆輸入して稼働させるケースも盛んに行われている。 モード説明 レースモード 最大5台のCPUカーとレースをするモード。コースによって最大同時走行数は違う。 COM Lv.は標準では10まで選択可能。Lv.10を1位で完走したコースのみでLv.11を選択する事が出来、Lv.11をクリアすると、Lv.12、13…と続いて選択可能になる。 1位を取ると「レーシングスキル」が上がり、それに応じてレベルが上がり、対応した称号を獲得する事が可能。例えばLv.10を1位で完走すれば、いきなりその分レベルと称号が上昇する。 称号はレベルが上がれば自動的に付け替えられる。…とは言っても「称号名+(数字)」といった具合だが。 ワンメイクレース 同一車種のみとのレース。後はレースモードと一緒。 タイムアタック タイムを競うモード。前作同様の優秀設計で、エントリーキーを使用すると細かな条件下でゴーストカーを検索、出現させることが可能だった。 Tuned ではドリフトモードにおいても同様の機能が使用可能。 ドリフトモード ※Tunedのみ 「速さでは無くドリフトのカッコ良さ」を競うモード。タイムや順位は一切無視され、ドリフトした時に貯まる「ドリフトポイント」の数を競う。 選択出来るコースは一部に限られており、「中級A、B、C」「超上級A、D」「弩級B」が選択可能。 画面内に「ACTION!」が表示された所から評価ライン上かその付近に該当する箇所でドリフトすれば溜まる。 ドリフト状態を維持しつつドリフトアングルを深く付け、スピードを速く出し、評価ラインに近づけば近づくほど溜まり易くなる。「評価ラインに近づけば近づくほど」と言うポイントが重要であり、どんなにカッコ良くドリフトしてもこのラインから逸脱すれば一切のポイントが貯まらなくなるので注意。 収録車種 収録車種数は無印で計30車種が収録。 Tuned で23車種が追加され、計53車種収録されている。なかには、シビック(EG6)のような、前身作『サイドバイサイド2』以来9年ぶりの復活となった車種も。 今作で日本国外の車種が初収録された。但し前作から削除・マイナーチェンジされた車種もある。 チューニング・セッティングされた車や特別仕様車は何れもSクラスとなる。 以下クラス表記の文字、背景色はゲーム中に準拠して表記。 S クラス 前作の漫画パロディ車は排除され、今作ではチューニングカー用のクラスとなった。実在するチューンド車である特別仕様車はこちらのクラスで扱われる。 特別仕様車に関してはドレスアップ・チューニングは不可能である。 A クラス 高出力スポーツカークラス。新車時点で280馬力制限で販売されている車種。 B クラス 中出力スポーツカークラス。出力が200馬力超の車種。 C クラス ライトウェイトスポーツカークラス。150馬力前後の車種。性能バランスが丁度良く、意外と初心者向けかもしれない。 D クラス コンパクトカークラス。出力が約100馬力弱と低い為、グリップ走行が基本となる。故にドリフトはほぼ不可能で、それ目的ではお勧め出来ない。 フィット・コルトはATでCVT(無段変速)を使用可能。継ぎ目無く加速できるが、エンジンブレーキ(*2)や回転数合わせの効果が薄い欠点がある。 + 収録車種一覧 メーカー 車種 初出 備考 特別仕様車 全9車種 トヨタ アルテッツァ TRD仕様(SXE10) Tuned 日産 スカイラインGT-R NISMO GT-R LM仕様(BCNR33) ギアボックスが5MT-FRに変更 スカイラインGT-R V-specII NISMO仕様(BNR34) 4 フェアレディZ NISMO仕様(Z33) フェアレディZ ORC仕様(Z33) Tuned D1グランプリ出場車エンジンがRB26DETTに変更 スバル インプレッサ SpecC STi仕様(GDB) 三菱 ランサーエボリューションIX RALLYART仕様(CT9A) マツダ RX-7 Type RS A PEXi仕様(FD3S) 4 D1グランプリ出場車 Aクラス 全16車種 日産 フェアレディZ Version ST(Z33) 4 前期型 スカイラインGT-R(BNR32) Tuned 後期型 スカイラインGT-R V-spec(BCNR33) スカイラインGT-R V-spec II(BNR34) 4 スバル インプレッサ WRX STi spec C(GDB) 4 中期型 インプレッサ WRX STi [ 06](GDB) Tuned 後期型 インプレッサ WRX タイプR STi version VI(GC8) 2ドア仕様 レガシィB4 2.0GT spec.B(BL5) 4 前期型 三菱 ランサーエボリューション IX(CT9A) 4 何れもグレードは「GSR」 ランサーエボリューション IX MR(CT9A) Tuned ランサーエボリューション III(CE9A) ランサーエボリューション IV (CN9A) ホンダ NSX タイプS(NA2) 4 後期型 NSX タイプR(NA2) Tuned マツダ RX-7 タイプRS(FD3S) 4 6型 トヨタ スープラ RZ(JZA80) 4 後期型 Bクラス 全17車種 日産 180SX タイプX(RPS13) Tuned 中期型 シルビア K s(S13) 前期型 シルビア spec-R エアロ(S15) 4 三菱 FTO GP Version R(DE3A) Tuned 後期型 ホンダ アコード ユーロR(CL7) 4 前期型 インテグラ タイプR(DC2) Tuned 後期型 インテグラ タイプR(DC5) 4 S2000(AP1) マツダ アテンザ 23Z(GG3S) 4 前期型 RX-8 タイプS(SE3P) 中期型 サバンナRX-7 GT-X(FC3S) Tuned 後期型 トヨタ アルテッツァ RS200 Lエディション(SXE10) 4 後期型 セリカ GT-FOUR(ST205) Tuned セリカ TRD Sports M(ZZT231) 4 前期型 MR2 GT(SW20) Tuned 3型 VW ゴルフ GTI(1KAXX) Tuned ルノー ルーテシア ルノー・スポール V6(BL7X) 4 フェイズII Cクラス 全14車種 プジョー 206 RC(206RC) 4 ホンダ シビック SiR(EG6) Tuned 後期型 シビック タイプR(EK9) マツダ ユーノス・ロードスター(NA6CE) Tuned 前期型 ロードスター RS-II(NB8C) 4 後期型 ロードスター RS(NCEC) Tuned 前期型 フォード フォーカス ST170(WF0ALD) 4 後期型 ミニ ミニクーパー S(RE16) 4 VW ニュービートル ターボ(9CAWU) 4 後期型 トヨタ スプリンタートレノ GT APEX 3door(AE86) 4 前期型 MR-S S EDITION(ZZW30) 4 後期型 スズキ スイフトスポーツ(ZC31S) Tuned 前期型 シトロエン クサラ クーペ VTS 4 後期型 C4 2.0 VTS(B5RFK) Tuned 前期型 Dクラス 全6車種 三菱 コルトプラス Sport-X Version(Z27A) 4 後期型 6MT使用不可 マツダ デミオ スポルト(DY5W) 4 中期型 ホンダ フィット 1.5S(GD3) 4 中期型 CVT搭載(MTでは7速化) 日産 マーチ 12SR(BK12) 4 前期型 トヨタ ヴィッツ RS 1.5 3door(NCP13) 4 中期型 カローラレビン SR(AE85) Tuned 前期型 コース コース数は4で7コース、 Tuned では全難易度で新コースが追加され、計24コースが収録されている。 Tuned 稼働から1年して、前作の全コースが「コースアーカイブ」と称して順次復活した。(前作と同じ)弩級以外の難易度でC、D、超初級はC、超弩級はB、Cコース。 全コースで順走・逆走が選択でき、弩級以上は一本道コースとなる。 前作同様走行方向によってデフォルトBGMが異なる他、公式のコース紹介で全長・高低差不明のコースはゲーム内で明らかとなっている。 + コース一覧 難易度 初出 コースタイプ 全長 高低差 デフォルトBGM 解説 超初級 4 周回 2458m 2m Win The Glory 日米のオーバルサーキット(*3)を元ネタとした明確なサーキット系オーバルコース。珍しい事に、スタート地点及びホームストレッチが本来ではピットロードである脇道に設けられている。難易度相応に道幅が広く、見通しも良く、バンクも深めでオーバルコース中で最も速度が出やすい。最初のバンクは深く短い為、そこで思い切ってアウトインアウトを駆使しよう。 超初級B Tuned (2007年2月6日追加) 一本道 10101m 85m The Moment of True 夜の横浜ベイブリッジと東京湾アクアラインが元ネタのありそうで無かった最初で最後の初級系一本道コース。直線と緩やかで長いコーナーだけで構成され、唯一0-400mと0-1000mのタイムを計測可能なコースでもある。車のセッティング次第で最高速頭打ちも行ける程に平均速度が極めて高く、最高速も300Km/h越えもあり得る。車両によってはなんと350Km/h近い最高速になることも。トンネル内のカーブでどれだけアウトインアウトが出来るか、トンネル内の下り坂で最高速を稼ぐ事が重要。 Tuned で追加されたギア比「SUPER HIGH」をここで思う存分発揮しよう。 超初級C Tuned (2007年11月1日追加) 周回 2593m 0m Revenge on X 前作の超初級が復活。コースアーカイブ8回目の復活コース。ブースト機能が及びセッティング機能が追加されたことにより前作より最高速が上がり、コーナーでの処理が難しくなっている。 初級 無印 周回 2636m 25m Gateway to Victory 海にそびえ立つ大鳥居が特徴の宮島を元ネタとした真昼の街道コース。全体的に走り易く癖の無いコースだが、道幅が少々狭く、コーナーでのオーバースピードは禁物である。 初級B Tuned 周回 2980m 27m Slippin Away 前作の初級(初級C)のアレンジコース。同じ形状では無く、全体的に初級Cの脇道を走る様な形となっている。脇道故にトンネルの長さが短くなっていたり、全体的に海側のコーナーが鋭利になっている。基本的に緩めのカーブが続くが、初級Cと同じ個所に見通しの悪い急カーブがあり、臨機応変な対応力が必要。 初級C Tuned (2007年9月4日追加) 周回 2169m 13m Morning View 前作の初級がそのまま復活。超弩級Bと共にコースアーカイブ6回目の復活コースとなった。 初級D Tuned (2007年7月3日追加) 周回 2533m 9.1m Wild Instinct 前作の初級Bが復活。超弩級Cと共にコースアーカイブ4番目の復活コースとなった。 中級 無印 周回 1952m 28m Grand Slam ドリフトモード対応。朝の阿蘇山のカルデラを元ネタとした山岳コース。砂利道の個所もある他、高低差が非常に激しく、簡単な個所と難しい個所の落差が激しい。サスペンションセッティングには注意が必要。地面の凹凸を利用してドリフトに持ち込めれば走り易くなる。 中級B Tuned 周回 1340m 3.8m Destiny ドリフトモード対応。お台場の駐車場で開催されたD1グランプリを元ネタとした特設ショートコース。コース形状は『1』の中級に似ているがドリフトモード重視の設計故か、全長はシリーズ中でも最短。 中級C Tuned (2007年4月3日追加) 周回 1774m 33.5m The Machine of Rage 追加時よりドリフトモード対応。前作の中級が復活。コースアーカイブ最初の復活コース。 中級D Tuned (2007年12月4日追加) 周回 1842m 4m Burst of Dust 前作の中級Bが復活。コースアーカイブ最後の復活コースとなった。 上級 無印 周回 3325m 35m True Brave Man F1でお馴染みのモナコ・モンテカルロ市街地コース。1周が長いためか周回数はシリーズ初の2周。狭い道幅も忠実再現しているがシケイン等の一部コーナーにはショートカット防止用の壁が設置されている。 上級B Tuned 周回 4061m 29m Ice Crystals 大雪のシャモニー山中を元ネタとした、『1』以来の全スノーコース。こちらも周回数は2周。レイアウトこそまだ良心的だが、非常に滑り易く、見た目以上に走り難い。2連続ジャンピングポイントでは姿勢を崩さない様に注意。 上級C Tuned (2007年5月1日追加) 周回 2208m 30m Groovy Run 前作の上級が復活。コースアーカイブ2番目の復活コース。 上級D Tuned (2007年10月2日追加) 周回 2023.77m 29.3m Battle Gear 前作の上級Bが復活。コースアーカイブ7番目の復活コース。 超上級 無印 一本道 5184m 214m Autumn Breeze 2007年10月2日よりドリフトモード対応。PS2版『2』で超中級として登場した秋の妙義山をリメイク。因みに、一本道の超上級コースも同作以来である。 超上級B Tuned 周回 2475m 4m Move On! 世界ラリー選手権(WRC)のスペシャルステージをモチーフにしたスタジアムダートコース。スタジアムだからこそ出来る立体交差や自分のプレイが中継されているコース上の巨大モニターが見所。 超上級C Tuned (2007年6月1日追加) 周回 2164m 28m The Sense 前作の超上級が復活。コースアーカイブ3番目の復活コース。今作ではシミュレーター寄りの挙動になったためか、ジャンピングスポットで車が跳ねるようになっている。特に順走ではジャンプ後すぐに右コーナーになるため車によってはジャンプ前にブレーキも必要となる。 超上級D Tuned (2007年8月1日追加) 周回 2765m 10m Wild Instinct ドリフトモード対応(2007年11月1日追加対応)。前作の超上級Bが復活。コースアーカイブ5番目の復活コース。ドリフトモードでは全コース中最多のスコアを誇っていた。 弩級 無印 一本道 329m 順 Heaven On A Heartbeat逆 Black Desire シリーズ全作登場で御馴染みの榛名山。前作からグラフィックが小改良されて引き続き登場。細かい所では、前作まで「不明」とされたコース全長が表記されている。 弩級B Tuned 一本道 不明 452.4m Be Aggressive ドリフトモード対応(2007年8月1日追加対応)。前作から引き続き登場。 超弩級 無印 一本道 7403m 167m The Last Wall WRC第1戦のラリー・モンテカルロの舞台として有名なチュリニ峠を舞台としたシリーズ史上最難関コース。道幅がほぼ完全に1車線分の狭さで、かつ全長も非常に長い。完走には5分超えもあり得るので心して挑もう。 超弩級B Tuned (2007年9月4日追加) 一本道 不明 60m Feel The Noise 前作の超弩級が復活。初級Cと共にコースアーカイブ6番目の復活コースとなった。 超弩級C Tuned (2007年7月3日追加) 一本道 不明 The Night Diver 前作の超弩級Bが復活。初級Dと共にコースアーカイブ4番目の復活コースとなった。 評価点 シリーズを通して磨かれた格別な演出面 前作をベースに更に美麗化した、シリーズ最高峰のグラフィック。 車の内外装モデリングは勿論、タイヤスモークや霧といった「煙」、特に新規コースの街並みや田舎・山の自然の描写は文句無しの綺麗さとなった。 エンジン音等の効果音も、前作をベースに更に微細化。5.1chサラウンドシステム追加の効果もあり、車内視点では実車並みの臨場感が味わえる様になった。それどころか、コース脇から聞こえる水の音、鳥の鳴き声、観衆の声、花火の音も車外と車内で聞こえ方が如実に変わる様にもなった。 リプレイのカメラアングルもサード屈指の秀逸さ。 初代から(更にさかのぼれば前身作の『サイドバイサイド』から)積み重ねてきたノウハウがあるからこそ、実現できたカメラアングルだろう。 従来は隠し車種で存在した『頭文字D』や『湾岸ミッドナイト』等の走り屋漫画のパロディ要素は今作で排除され、「走り屋参加の合法レース」の雰囲気は全体的に薄まった。海外メーカー参加の影響も有ってか、「D1グランプリ」等の「レーサー参加の特設レースイベント」へシフトした印象があり、各コースや演出でもその傾向が見られる。 スタート時のシグナル演出(これは前身作「サイドバイサイド2」からの復活ではある)、新規コース脇の壁やそこにデザインされたスポンサー広告の多さ等。実際、「D1グランプリ」とは『無印4』から特別仕様車で間接的にタイアップしており、Tunedのオープニングデモの一つは中級BでD1出場車の2台がドリフトを繰り広げるもので、同イベントの忠実な再現となっている。 基板は前作のPS2互換基板であったSYSTEM246からタイトーのWindows PCベース基板であるTaito Type X+(*4)に変わった。 シリーズ中で最もリアルな挙動 前作よりも挙動が全体的にリアルになり、強引な荷重移動によるコーナリングが不可能となった。かと言って誇張でない程度にドリフト制御が比較的容易な所は変わらず継承されている。適切に減速、荷重移動を駆使しないとヘアピンが曲がれないリアルさと、扱い易いドリフト制御というゲーム性も両立している。この絶妙なバランスは、他のレースゲームの追従を許さないだろう。 リアル系・シミュレーション系統のレースゲームが好きなユーザーからは満場一致で非常に高い評価を得ており、事実上シリーズが終了した事を惜しむ声は今尚絶えない。一方でリアルな挙動が苦手な人への配慮も抜かりない。余裕ある制限時間、低難易度では適切に遅くなるCPUカー、離されても追い付けるラバーバンド、 Tuned では下記のサポート機能も追加している。 因みに『無印4』では全シリーズ中で最も『グランツーリスモシリーズ』寄りの挙動となっており、ステアリングレスポンスが全体的に固く重いため、サイドブレーキを駆使するか正しいセッティングをしなければ後輪駆動車でもドリフトがしにくい挙動となっていた。Tunedではこれらのステアリングレスポンスが若干強化。ドリフト制御が容易になったことで取っつきやすさが改善された。 シリーズ初の海外車種と海外コースを収録 国産車も従来通り多数収録し、全53台(無印は30台)の挙動とハンドルの重さも再現。シリーズ恒例の車内視点も勿論全車再現されている。登場している海外コースも、アメリカのオーバルとスタジアム、モナコのモンテカルロ市街地とチュリニ峠、フランスの名峰シャモニー山と国際色豊かである。 Tunedで更に追加された、初心者に対する手堅いサポート。 カーブで自動ブレーキが掛かるATである「簡単AT」を始め、次コーナー予告やブレーキ警告、ドライビングライン表示等、ゲームに慣れていない人に対するサポートが充実した。特に簡単ATを選べば、プレイヤーはアクセルとハンドル操作だけに集中すれば良く、コーナー前でアクセル踏みっぱなしでも曲がる時にハンドルさえ切れば大抵は曲がってくれる。加えて無印の段階で余裕のあった制限時間も更に延長。上記の挙動改良も相まって完走しやすくなった。初心者は勿論、初見・苦手コースに挑戦する経験者でも安心して完走・練習が出来る様になったと言えるだろう。 自由度の高いチューニングシステム。 パーツ獲得方は前作の『湾岸マキシ』のようなレース毎から、BG4ガレージでゲーム内通貨のBG(バトルゴールド)を消費してチューニングしていく方式となった。下記の様にチューニングパーツ・ドレスアップ(装飾品)は大分豊富だが、エアロで空力や性能が変わる所には注意。段階チューニングはいきなり上位のパーツは買えず、Lv.1から順に買わないといけない。 充実したボリューム 前作同様、外部製作されたBGMもコースの雰囲気にマッチしており高評価。今作のBGM作曲はフリーランスの足立賢明氏と阿部学氏が全曲を担当。前作の有限会社サウンドウェイブの鈴木貢氏とはまた違った、ギターとドラムを強調した明るめの曲調が多く、中には金管楽器を強調したスピーディーでジャジーな曲も。 ZUNTATA(*5)や鈴木貢氏による過去作BGMの殆ども収録されている。但し初代『サイドバイサイド』の全曲と『BG2』の初級コースBGM「To Become Wild」は未収録。後者は元クリスタルキングの田中昌之氏がボーカルを務めている為、権利関係の都合と思われる。 前述したが、稼働中期~後期にかけて「コースアーカイブ」という前作コースの復活が行われ、無事、全コースの復活を遂げた。 店舗によって設定された料金を投入すれば一定時間プレーし放題な「時間貸しフリープレー」に標準対応。タイムアタックでやり直すプレイヤーに対しての配慮はやはり抜かりない。また、その設定をした時のみの専用表示も。但しこれは店舗側が筐体テストモードの料金設定でそのように設定しなければならないので注意。また、この状態の時は通常のクレジットプレーが出来なくなる点にも注意。 賛否両論点 痒い所に手が届いていないシステム関連 エンジン音が大きすぎる。BGM音量を最大にしてもエンジン音調整が出来ない為、どうしてもBGMが聞き取りづらい。 前作同様、ハンドルの重さも再現しているが、調節機能は今作でも無い。人によっては疲れる事必至。 Tunedで若干改善されたものの、『無印4』ではハンドルの重さが更にリアル寄りになっており、限りなく実車に近いハンドルの重さを実現していたものの、取っつきやすさを求める一般層からの評価は厳しいものであった。 ハンドルの重さ自体は、当時既に『湾岸マキシ』では一定、『頭文字D Arcade Stage Ver.2』では調整可能だった。今シリーズでは前作の時点で問題になっていたのだから、無印の時点で調整機能を入れるべきだっただろう。 面倒で理解を妨げるセッティング機能 「本格的で楽しめる」という意見から「面倒くさい」という意見まで様々。今作だけに限った事では無いが、簡易セッティング機能があれば良かっただろう。 特にタイムアタックを極める場合、使用車種のマシン特性とコースの組み合わせに合ったセッティングメニューが必要となるのだが、正解となるセットアップを見つけるには途方も無い走り込みが必要であった。 このため、良心的なプレイヤーを中心に車種別セッティングの正解表をネット上やチームBBS等で公開・共有するケースが多く見られた。 有料機能(ガレージエクステンション)の是非 ※2016年8月1日から有料機能制度が廃止され、下記の全機能が全面無料解禁となっていた。 内容は、レース前後のオリジナルメッセージ、車のサイド、リアウィンドウに貼るオリジナルステッカー作成(*6)、チーム運営、ライバル募集、TAで走った記録の詳細(*7)である。 とはいえ、競合他社のゲームでは「このゲームにおいて無料で利用可能な要素」ですら大半が有料であることも当時の時点でかなり散見された事を考慮すれば、まだ有情…と見るべきか。 一部超高額なパーツの是非 一部車種に用意されていた偏光色と、エンジンチューン(600,000BG)、エンジンスワップ(800,000BG)が該当。しかし1プレイで約80,000~100,000BG増えるので、少々の貢ぎに抑えられているだけマシと言える。 問題点 これまで以上に猛威をふるう補正の数々 強引な追い抜き対策として、イン側からアウト側の他車に接触するとグリップ力が低下する補正が相変わらず存在している。今作はこの補正自体は強くないものの、今まで以上にリアリティになった挙動やその他の補正が絡んでしまい、体感的にはシリーズ中で最も露骨になっている。 インから他車に「少しでも」接触すると、自車のグリップ力が低下し、減速してもアウトに流されてしまう。逆に他車はグリップが上昇する。折角インから抜かそうにもこの仕様ではサイドバイサイドなんかたまったものではない。狭いコースが多いのだから尚更。下手すると無理ゲー化しかねない。勿論、イン側が他プレイヤーカーやCPUカーでも適用されるが、後者の場合は下記の仕様があるのでそこまで効き目が無い。 CPUカーはコーナリングする直前からグリップ力に上昇補正が大きく掛かる。勿論プレイヤーにそんな補正は無い。前作からある補正だが、今作ではそれがより大きく強化されてしまった。 例えブーストやニトロを使っていても、使っていない時と全く同じ位置でブレーキングする。 コーナー直前で自車がCPUカーに接触すると、CPUカーは壁に追突するどころか不自然な速さで見事にコーナリングする。プレイヤーカーがぶつけられた場合はこれらの補正は適用されないので余計に理不尽さに拍車を掛けている。 それ以前にCPUカーの走り自体が従来と同様に限りなく完璧に近い。AIで動いているわけではないので、コーナリングもかなりコンピュータじみており不自然。 文面からでは分かりづらいが、一度でもプレイすればその恐ろしさは一目瞭然。不公平以外のなにものでもない。それを見越してか上記の評価点で述べた通り、ラバーバンド機能が存在しているが、それでバランスが取れているとは到底言い難い。更に上級者向けコースになるとラバーバンドすら空気になってしまい、上記の補正を利用しないと勝てないレベルである。 チューニングシステムにかなり不便な点がある BG4ガレージ(webサイト)のパーキングスペースは最大60台まで入れられるのだが、初期状態では3台までの上、1スペース購入するには100,000BGが必要。セッティングも6つまで保有出来るが、初期状態は1つだけの上、1つ追加する度に現在のセッティング数×100,000BGが必要。 「記載されていない隠し仕様として」パワーチューニングを先に施すと、加速が相当もたつく様になるという大きなデメリットがある。 駆動系、ハンドリング系の後にパワーチューニングを施せば回避可能だが、いかんせん無記載の為、初見プレイヤーが引っかかる可能性が高いのは頂けない。 今作のファイナルギアは、4つのセッティング済みのファイナルギアの何れかを購入する仕様となっている。いっそ簡易セッティング機能を付ければ良かったのでは? エアロが空力に影響する。現実と同じと言えば確かにそうなのだが、前作では走行性能に影響しなかった為、気に入ったエアロで走りたいプレイヤーからは大きな不満点とされた。ある程度腕に自信があるなら見た目で選んでもさほど問題は無いが、タイムアタックでは泣きを見る事になってしまう。 その空力変化も、ストリート、スポーツ、レースで一定の効き目があると言った感じでかなり大雑把。ウイングのダウンフォース調整も原則レーシング2でしか不可能。 前作から未登場の実在国産車がいささか多い 無印で外車、 Tuned で前作『3 Tuned 』の全コースが追加されたが、その反面国産車が前作から減少。計23台が追加された『4 Tuned 』でも未登場の車種が13台もあり、具体的にはランサーエボリューションVII・VIII4種(*8)、インプレッサ4種(*9)とBE5レガシィ2種(*10)、EP3シビックタイプR、後期S14シルビア、AE86レビンと何れも人気車である。一応、前作同様に近似車種(*11)が継続登場している車もあるものの、それは極一部のみで、前作で該当車を使用していたプレイヤーは無印・ Tuned で2度落胆する事になった。 これでも Tuned で相当数が復活した方ではあり、『無印4』の時点では車種以前に内容自体が劣化作と言える程に薄かった。前作のPS2互換基板からPCベース基板への移行による高精細なグラフィック作成の手間故か、車・コース共に前作よりも大幅に減少していた。事実上の前々作である『無印3』とはコース数は同じだが、収録車数では同作の全実在車34台(*12)に負けていたので、この問題の発生は不可避だったとも言える。結局タイトー側も最終アプデまでに全車種のグラフィック作成が間に合わないと判断したのか、前作から未復活に終わった車種に関しては「チューニングシステム導入に伴う近似車種への車種統合」という形を取ることとなった。(*13) 一方で Tuned での復活車種の一部には、ゲームバランスの関係で敢えて『無印4』での収録を見送ったと思われる車種も少なくない。例えば超フロントヘビーな重量配分故に頑固なアンダーステアが目立つR32スカイラインGT-R、パワステ無しの純サーキット仕様の後期NSX Type R等は、『無印4』のシミュレーター型の挙動では操縦が極めて難しくなる為に収録を見合わせたのではとの説も強い。 ネットエントリーキーの問題 前作同様に定価500円で売っている高価な記録媒体にもかかわらず、保存出来る車種も前作同様1台だけであった。BG4ガレージは60台まで登録出来る仕様があるのだから、せめて1つのネットエントリーキーに60台まで保存出来る様にするべきではなかったのだろうか…。 本作のゲームデータは現在の「Aime」「バナパス」等と同様サーバーに保存される方式を取っていた為、媒体の劣化の影響を受けず鍵の更新が不要であっただけマシだと言えるだろう。もし鍵の使用回数の概念があろうものなら更新の度に高額な料金を要求され、プレーヤーからは阿鼻叫喚の嵐となっていたことは言うまでもない。 オンラインサービスが終了した現在でもキーを販売している店があるが、ネットエントリーキーを使用したゲームプレイは行えないのでほぼ無意味。 その他 色変更をRGBでする事が出来ず、予め用意された色のみしか選べない。 そして色を変えるのに必要なBGも安いとは言えない。特に偏光色は500,000BGとそれなりに値が張る。但しカタログカラー(車種選択画面で選べる色)とホイールカラーは例外で無料と言う配慮はある所は親切と言った所か。 レガシィB4のヘッドライトの位置がバグでズレている。 総評 挙動もリアル寄りにしては最高峰に運転する楽しさを感じ取れ、ゴーストの細かい指定、チューニング要素の細かさといった完成度の高さは、間違い無く良作と評価して差し支えない出来栄えである。 だが相変わらず…どころかこれ以上も無い位に悪化したプレイヤーに露骨に不利に働く補正郡や、不便過ぎる仕様が幾つかある等、良点を台無しにしてしまっている箇所もそれなりにあり、手放しに評価可能な作品とは言えないのもまた事実。 更に無印時代はシリーズファンが離れてしまうほどの内容故にスタートダッシュに失敗してしまった痛手もあるなど、稼動当初からしばらくの時期に限ればシリーズの黒歴史とも言える要素も。 それでもゲームとしての粗はそれなりに目立つとは言え、アーケード作品でも屈指のリアルなレースゲームである事は疑いの余地がない。 結果として現在は勿論、当時のアーケードゲームの基準として見ても隠し要素に絡む貢ぎ要素も特に無く、アーケード筐体でレースゲームをしたいのならば自信を持ってお薦めできる一作と、時を経て再評価される格好となった。 現在は13年9ヶ月も続いたオンラインサービスが遂に終了となり、ただでさえ少なかった筐体がここから更に撤去されて数が少なくなることが容易に予想でき、いつ日本のみならず世界市場からも絶滅してもおかしくない状況にある。 もちろん一部店舗ではオフライン状態により稼働を継続する場所もあると思われるが、年数が年数なだけに近い将来基板や筐体の保守対応サービスが終了し、起動不能に陥り市場から完全絶滅するのも時間の問題である。 もしこの頁を閲覧した貴方が本作を遊んでみたいと思うならば、手遅れになってしまう前に稼動筐体を見つけ出し、ハンドルを握ってみて欲しい。 その後 長きに渡る稼動からのオンラインサービス終了 実に稼働開始から13年9ヶ月、そして『サイバーダイバー』のオンラインサービス終了後は5年にもわたり、唯一のNESYS専用カード(ネットエントリーキー)対応タイトルとしてもの間オンラインサービスを続けてきた本作だが、遂に平成が終わる1ヵ月前の2019年3月31日に、オンラインサービスが終了する事となった。 奇しくも2019年は、『バトルギア』稼働から20周年を迎えたアニバーサリーイヤーでもあったが、本作のサービス終了で、『3』の稼働開始から17年間続いたNESYSは役目を終え、NESiCAに完全に受け継がれた。 名実ともにシリーズは生誕20周年の節目及び平成の終わりの年を以って、前身作の『サイドバイサイドシリーズ』から数えれば23年の歴史に完全に幕を閉じることとなった。 2008年8月8日~24日まで開催された最後のオンラインイベント「バトギ夏の陣」を皮切りにイベント協賛を取りやめた2009年10月15日以降は、不具合修正以外は殆ど放置されてはいた。こうした状況の中、現在のタイトーがスクウェア・エニックスに吸収合併され、レースゲームを始めとする一部ジャンルの開発縮小及び撤退が相次ぐ等不安定な経営状態が続き、後述でも述べる通りその最中で開発チームは解散、所属スタッフも整理解雇された影響もあり(*14)、一部ファンの間ではシリーズの現存資料の散逸を心配する声もあった。そんな中で曲がりなりにもこれだけアーケードのオンライン対応ゲームの中でも異例と言えるほどに長い期間オンライン運営を続けてくれただけでも、タイトーには感謝せざるを得ないだろう。 連動サイトの『BG4ガレージ』もオンライン終了と同時に閉鎖され、『稼働店舗情報』『上位ランキング情報』の公開も終了した。但しシリーズ公式サイトの『BATTLEGEAR.NET』は、サービス終了から5年が経過した現在でも存続が確認されている。(2024年4月14日現在)とは言え、既にサイト開設から20年以上が経過しており、サーバーの老朽化等によっていつ閉鎖されてもおかしくないので、シリーズ作品の魚拓取得をしたり思い出として懐かしむのならば今のうちである。 その後のタイトーレースゲーム事情 その後タイトーは制作チームを一新した新体制の下で、完全新作レースゲーム「TOPSPEED(トップスピード)」を2009年に発表した。 筐体は同社の「D1GP ARCADE(*15)」風のシングル筐体で、基板に当時最新の「Type X2」を使用しグラフィックを『BG4』より強化、車は国内外の新旧車が登場(*16)。最大の売りとしては専用カードと最大10人のオンライン対戦が導入され、チューニングの保存(*17)やハンドルに装着されたボタンによる定型チャットが可能だった。同年7月にはロケテストまで行われたが、残念ながらそれを最後に続報が途絶えてしまった。お蔵入りと見るべきだろう。 あれから9年後、セガより稼働された『SEGA World Drivers Championship』で、初めて最大10人のオンライン対戦が実装された。 2010年、「D1GP ARCADE」の筐体を流用した「BATTLE GEAR 4 Tuned 2010」が海外向けに稼働を開始した。 NESYS・ネットエントリーキーの非対応化、英語化(*18)、コースアーカイブのコースが工場出荷時からプレイ可能となっている。 2010年9月、キッズ向け対戦レースゲーム「バトルホイール スピンギア」をAMショーで発表・出展。 レース中にライバル車に対戦バトルを仕掛けることができたり、座席後部にあるボタンで保護者が子供のプレイをアシストできるといった特徴的なシステムを採用。NESYSに対応し、カスタマイズ、追加コース・車両・ドライバー・パーツの配信、店舗ごとのイベントモード配信が計画されていた。2011年春の稼働開始を予定していたが、そのままお蔵入りとなった。同年2月開催のAOUエキスポの出展機種ラインナップに同作が含まれていないことからして、AMショーからAOUエキスポまでの間にお蔵入りが決まった可能性がある。 競合他社に受け継がれる本シリーズの魂 本シリーズで培われたノウハウの一部は、SIEが発売元のリアル系レースゲームの金字塔である『グランツーリスモ』シリーズに影響を与え、『5』以降で内装視点が実装されたり、正式にドリフト走行が可能になったりと、ある意味で受け継がれたと言えるだろう。 アーケードでも同様の事例がセガの『頭文字D Arcade Stage』シリーズに発生しており、4作目以降から挙動に物理演算要素を導入したり、10作目の『THE ARCADE』ではローカル対戦限定で4台通信に対応、本作以来15年ぶりに4人対戦可能な峠レースゲームが復活することになった。 家庭用移植にまつわる大人の事情 PS3を始めとする当時の家庭用新型ハード向けゲーム開発も高額になっていくことによる採算面の問題や、『 Tuned 』稼働開始から程無くしてシリーズの制作スタッフの大半がタイトーを退社した為か、本作の据え置き型ゲーム機への移植は行われなかった。 現在のタイトーはスクウェア・エニックスに吸収合併されたが、同社も旧スクウェア時代に『DRIVING EMOTION TYPE-S』で大失敗した経験があるので、スクエニ名義での家庭用移植や新シリーズも絶望的。また、『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』の様にスクエニ以外の他社に開発・発売を担当させる方法に関しても、そもそも前述の通りシリーズ開発チームの解散及びその所属スタッフの整理解雇もあり、同作の現存資料の残存すらも疑われる可能性がある為これもまた絶望的といったところか。 尤も、2010年辺りからレースゲーム自体格ゲーやSTGと共に需要低下に伴う売り上げ氷河期に陥っている為、それ故に競合他社の殆どにおいて新作レースゲームのラインナップの縮小及び開発そのものからの撤退が相次いでいる。現在タイトーは『ダライアス コズミックコレクション』をもって9年越しとなる家庭用ゲーム事業への再参入を果たしているが、日本における近年のレースゲームを取り巻く事情を鑑みると、タイトーが本作の移植を含めた新作レースゲームの開発に再参入する可能性はかなり厳しいものであろうか。 加えて、本作の上級コースのモデルがモンテカルロ市街地コースであることから、ライセンス絡みの問題でも家庭用機への移植を一層困難にしているとされている。 モンテカルロ市街地コースは世界各地のサーキットの中でも版権料が極めて高額であり、SIEの『グランツーリスモ』シリーズでは高額なロイヤリティを避けるために「コートダジュール」という架空の名称に変更し、国籍をフランス扱いとすることで収録していた為、本作でも同様の手法で収録していたものと思われる。現在は権利絡みの法整備が世界的に進んだことでこの手段が使えず(*19)、F1のゲーム等を除いてモナコが登場しなくなった現状を鑑みても、移植へのハードルはより一層高まったと言えよう。 時代の流れとは言え、後世に伝えるべきレースゲーム界の名作を残したメーカーの末路としては、若干寂しいものがある。 しかしながら、本シリーズのノウハウが競合他社作品に受け継がれたことから分かるように、レースゲーム冬の時代と呼ばれて久しい今のご時世においても、『バトルギアシリーズ』はこの世に生まれた証をしっかりと刻み込んでいるのである。 オンラインサービス稼動時の詳細 + 詳細 レースモード COM Lv.は標準では10まで選択可能。Lv.10を1位で完走したコースのみでLv.11を選択する事が出来、Lv.11をクリアすると、Lv.12、13…と続いて選択可能になる。 1位を取ると「レーシングスキル」が上がり、それに応じてレベルが上がり、対応した称号を獲得する事が可能。例えばLv.10を1位で完走すれば、いきなりその分レベルと称号が上昇する。 称号はレベルが上がれば自動的に付け替えられる。…とは言っても「称号名+(数字)」といった具合だが。 タイムアタックゴースト ゴーストの種類 解説 おまかせゴースト 全国ランキングの自分より1つ上の順位のゴーストが出現する。未完走の場合は最下位のゴーストが出現する。 自分のゴースト 自己ベストのゴーストが出現する。 僅差ゴースト おまかせゴーストの効果に加えて全エリアorエリア(ナンバー別)or店舗から絞込みする事が可能。 最速ゴースト 全エリアorエリアor店舗の1位のゴーストが出現する。 ライバルゴースト マイガレージで指定した相手のゴーストが選択可能。 ゴースト無し ゴーストが出現しない状態でタイムアタックを開始する。 因みに「僅差ゴースト」「最速ゴースト」のみノーマルの時のみA~Dクラスの指定が可能。これを利用して「金星&銀星」を獲得可能。 自分より1つ上のクラスのゴーストに勝利すれば銀星、2つ以上上のクラスのゴーストに勝利すれば金星が獲得出来る。 自分のクラス Cクラス Bクラス Aクラス Dクラス 銀星 金星 金星 Cクラス - 銀星 金星 Bクラス - - 銀星 因みに自分よりも上のクラスの車に勝利した証なのでAクラスでは獲得不可能。但しこの要素は単にランキングで競い合う為だけの要素であり、隠し要素解禁等には一切絡まない。 それぞれのモードで手に入るバトルゴールド(以下BG) レース2種 項目 獲得BG 基本獲得BG 80,000BG 1位 +5,000×COM Lv 2位 +1,000×COM Lv タイムアタック 項目 獲得BG 基本獲得BG 80,000BG 壁接触無し +20,000BG 自己ベスト更新 +10,000BG ドリフトモード 項目 獲得BG 基本獲得BG 100,000BG 自己ベスト更新 +10,000BG 因みに時間切れでも60,000BG、リタイアしても1,000BG貰える。アーケードゲームとの相性の良さもあり、非常に親切な設計となっている。 チューニングパーツ一覧 項目 解説 備考 駆動系チューン ブレーキ ブレーキを強化するメニュー。Lv1~3まである。 段階購入 タイヤタイプ スポーツラジアル、HGラジアル、レースタイヤハード・ミディアム・ソフト、ドリフトタイヤが装着可能。ドリフトタイヤのみドリフトに特化したタイヤとなっており、他のタイヤより滑り易くなっている。 スタビライザ スーパーハード・ウルトラハードが装着可能。 前後別 ダンパー スプリング ローダウン 強化ショック、ストリート・レーシング・ラリー車高調キットが装着可能。 ローダウン 強化ショックのみセッティング不可能 軽量化 剛性UP ボディ剛性を強化したり軽量化するメニュー。Lv.1~3まである。 段階購入 ドライブトレイン 駆動系統を強化するメニュー。Lv.1~3まである。 段階購入 ギアボックス載換 載換可能なパーツは現実に忠実である。 一部車種交換不可能 ファイナルギア (加速)←SUPER LOW、LOW、HIGH、SUPER HIGH→(最高速)がある。 エアロパーツ 部分ごとで、ボンネット、サイドミラー、ルーフ、サイドスカート、フロントバンパー、リアバンパー、ウィングが交換可能。全車種ストリート2種、スポーツ2種、レーシング2種、ラリー1種が用意されている。 ルーフのみ一部車種のみ交換可能でそれぞれ異なる。ウィングは元々装着されている車種にはウィングレスも可能。原則レーシング2のみダウンフォースの効き目を設定可能。 パワーチューン エンジンスワップ エンジンを載せ換える。マニア向けも含めて実在している物のみ登場している。コンプリートエンジンは、最初からフルチューンされている。無印ではオーバーテイクスイッチが使用不可能だったが、 Tuned では使用可能になった。 一部車種交換不可能。中には体感的に性能が低下するエンジンもあるので注意(*20)。更にマニア向けと表記されたエンジンは明らかに性能が落ちる。これは実在品を再現しているだけなのでバグでも罠でも無い。 エンジンチューン エンジンを強化するメニュー。Lv.1~4まである。Lv.3以上でオーバーテイクスイッチが使用可能になる。Lv.4は最高速向けなので、通常の場合は低・中速向けのLv.3を装着した方が良い。 段階購入。コンプリートエンジンでは選択不可能。 冷却チューン 冷却系統を強化するメニュー。Lv.1~3まである。 段階購入 マフラータイプ 低回転寄りのストリート、低・中回転寄りのスポーツ1,2、高回転寄りのレーシング1,2が装着可能。1は低速向け、2は高速向けである。 グラフィックでも変化する。 外部装飾品 ボディカラー 車体の色を変更可能。偏光色は一部車種のみ。 カタログカラーのみ最初から所持している。 ライトカラー ヘッドライトの色を変更可能。 マッドフラップ タイヤの泥除けを装着する。 車種別アクセサリ 車種によって違う専用のアクセサリを装着可能。 ホイール 架空のホイールに交換する。全車種共通である。インチアップ・ワイド化を装着する際には必須のチューニングである。 ホイールカラー ホイールの色を変更可能。全色最初から所有している。 ノーマルホイールでは装着不可能 リムカラー リムの色を変更可能。 ノーマルホイールでは装着不可能 ウィンドウカラー 窓の色を変更可能。 内部装飾品(車内視点で可視可能) タコメーター 12,000回転スケール。一部追加エンジンを装着した場合は純正タコメーターが振り切ってしまうのでこれを付けた方が良い。 ブースト計 これが無いとブースト計が表示されない。当然ながら自然吸気エンジン搭載車種に装着しても機能しない。 油圧計 リアルタイムで油圧が見れる様になる。 ゲーム的には飾り 油温計 リアルタイムで油温が見れる様になる。 水温計 リアルタイムで水温が見れる様になる。 時計 リアルタイムでゲームに内蔵されている時間(リアルタイム)を見る事が出来る。
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/1084.html
CAPCOM限定 ※注、背景のみ、服だけ、技だけの登場でカウントするときりがないので、使用可能キャラクターとしての登場作品のみ。 機種 タイトル 概要 判定 AC アドベンチャークイズ カプコンワールド2 RPG風のクイズゲーム。多数のカプコンキャラクターが登場。『ストII』の春麗が最多。ドンプルのキャラクターが邪神。 AC/PS/SS/DC/Win スーパーパズルファイターIIX 通称『スパズル』と呼ばれる、デフォルメされた格ゲーのキャラクターが登場する落ち物パズルゲーム。『ストリートファイター』『ヴァンパイア』のキャラに加え、『サイバーボッツ』のデビロットが参戦。 なし AC/PS/SS/PS2 ポケットファイター 上記『スパズル』風にデフォルメされたまま戦う2D格ゲー。コミカルな外見とは裏腹に、その奥深さは本物。『スパズル』から一部キャラが削除された代わりにザンギエフ・『ストIII』のいぶき・『ウォーザード』のタバサが参戦。 良 WS 画面は白黒でジェムは形状での区別だが分かりづらくアイテムも廃止。オリジナルのカードバトルはランダムで運が絡む。 劣化 AC/PS2/Xb CAPCOM FIGHTING Jam カプコン3シリーズ5作品のキャラ達が戦うお祭り2D格ゲーだが、キャラクター偏り、家庭用版追加要素なしの無機質ゲー。 なし AC/DC ガンスパイク カプコンと彩京のパートナーシッププロジェクト作品。キャミィ、ナッシュ、キング・アーサー、『ルースターズ』のシバ、バレッタ、ロックマン達が登場するアクションSTG。 Win STREET FIGHTER X MEGAMAN カプコンUSAの25周年記念で無料配布された、『ストリートファイター』のキャラがボスとして登場するロックマン。 執筆禁止 Switch/PS4/One/Win カプコン ファイティング コレクション 『ポケットファイター』『スーパーパズルファイターIIX』を収録。 カプコンアーケード 2ndスタジアム 『ポケットファイター』『スーパーパズルファイターIIX』を購入可能。 VS. クロスオーバー関連作品 機種 タイトル 概要 判定 MARVEL系 Marvel Comics関連作品シリーズ SNK系 SNKクロスオーバー関連作品シリーズ CAPCOM系 AC/DC CAPCOM VS. SNK MILLENNIUM FIGHT 2000 カプコン製作による、カプコンとSNKの競演格闘ゲーム。しかし、カプコン側の大半が『ストII』出身の人選、レシオバランスの悪さなど、問題が多い。 なし AC/DC/PS CAPCOM VS. SNKMILLENNIUM FIGHT 2000 PRO 上記のバージョンアップ版。新たにダンとジョー・ヒガシが参戦し、バランスを大幅に調整。PS版はキャラのみ要解禁に戻っているが、必要ポイントのバランスは調整されている。 AC/DC/PS2 CAPCOM VS. SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001 グルーヴゲージが多彩になった続編にして、20世紀格闘ゲームの最後を飾る総集編。従来の3on3システムの戦略性に加え膨大な組み合わせもあり、試行するだけでも長く楽しめる。 良 GC/Xb CAPCOM VS. SNK 2 EOMILLIONAIRE FIGHTING 2001 上記のGC/Xb移植版。バランスを大きく荒らしたバグが修正されている。その他、必殺技のコマンド入力を簡略化した「EO (Easy Operation)」機能等を導入。 PROJECT X ZONEシリーズ 3DS PROJECT X ZONE カプコン・セガ・バンナムの3社によるクロスオーバー作品で、『ナムカプ』の流れを汲むSRPG。SRPGとしてはある程度改善されたが、『ナムカプ』の魅力であったシナリオ・クロスオーバー要素が大幅に退化。 なし PROJECT X ZONE 2 BRAVE NEW WORLD まさかの続編。『ナムカプ』や前作で指摘された欠点の多くが改善。ゲストとして任天堂キャラも登場し、あらゆる面で10年間の集大成にふさわしい完成度となった。 良 その他 DC 対戦ネットギミックカプコン 彩京オールスターズ 彩京とのパートナーシッププロジェクト作品。両者のキャラクターが一堂に会する二人打ち麻雀ゲーム。現在はサービス終了。『対戦ホットギミック』の流れを汲み、ネット対戦モードではカスタムしたジャンファイターによる必殺技の応酬が楽しめた。 AC/Wii タツノコ VS. CAPCOM CROSS GENERATION OF HEROES カプコンとタツノコプロのキャラクターによる競演格闘ゲーム。Wii版は最大4人まで遊べるミニゲームなどが追加された。しかしMVC譲りの世紀末なバランスやWii版が同時に発売された事などから、多くのゲーセンではあっという間に撤去された。 なし Wii TATSUNOKO VS. CAPCOM ULTIMATE ALL-STARS 北米版をベースに日本へ逆移植。ミニゲームの廃止、Wi-Fi対戦対応など、前作よりも対戦に特化した作品。キャラクターバランスの調整の他、版権の都合により降板したハクション大魔王の代わりに、新たに5キャラ追加。 PS2 NAMCOxCAPCOM ナムコとカプコンの新旧キャラクター200名以上がクロスオーバーするスパロボシリーズタイプのSRPG。ゲームシステムに粗は多いが、良好なシナリオ・クロスオーバー要素が魅力。 良 PS3/360/Win/PSV ストリートファイター X 鉄拳 ついに2Dと3Dの共演が実現。バンダイナムコゲームスの3D格闘ゲーム『鉄拳』シリーズとのクロスオーバー格ゲー。しかし両タイトルと一切関係の無いゲストキャラ参戦やシステムの練り込み不足により大きく評価を落とす結果に。 PS3/360 クロスエッジ / クロスエッジ ダッシュ コンパイルハート開発、ゲーム会社5社のクロスオーバーRPG。カプコンからはヴァンパイアシリーズのキャラクターが参戦。 なし 他社開発作品 機種 タイトル 概要 判定 Win ストリートファイター オンラインマウスジェネレーション 『ストリートファイター』と銘打っているが『ジャスティス学園』『宇宙刑事ギャバン』『サイボーグ009』の他、香港の作家「金庸」が書いた小説のキャラクターも登場。現在はサービス終了。 執筆禁止 iOS/Android TEPPEN カプコンキャラが集結したデジタルカードゲームアプリ。 執筆禁止 番外編 ※注、背景のみ、服だけ、技だけの登場はカウントするときりがないので、きちんとしたキャラクター登場作品のみ。 機種 タイトル 概要 判定 PCE アドベンチャークイズ カプコンワールド PCE版は4面が井出洋介から『魔界村』の大魔王に、ラスボスがMr.T(*1)から『大魔界村』のルシファーに変更。 SFC/PS他 ブレス オブ ファイアシリーズ 一部の『ストII』キャラ(春麗やさくらなど)や技(瞬獄殺など)がシリーズ通してゲスト出演している。 AC VARTH - Operation Thunder Storm 4,11面で『ストII』のリュウを出現させると、「昇龍拳を放ちながらアイテムをばらまく」という演出が見られる。 DC ガンバード2 彩京とのパートナーシッププロジェクト作品。DC版限定で『ヴァンパイア』シリーズのモリガンがゲスト参戦。 不安定 3DS 謎惑館 ~音の間に間に~ ある部屋に『ストIV』のベガが登場。 怪作 WiiU スーパーマリオメーカー ロックマンとアイルーのキャラマリオが登場。 良 AC crossbeats REV. アーケードリズムゲーム。コラボイベントでは各コラボゲーのキャラアイテムが貰えた。『ロックマン』『ストリートファイター』『逆転裁判』『バイオハザード』『モンスターハンター』の楽曲を収録。ムービーは各ゲームのPV仕様となっており、原作のキャラクター達が登場している。 賛否両論 大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ 『for』よりロックマンとリュウ(DLC)が、『SP』よりケンとリオレウス(ボス/アシスト限定)が参戦。その他、カプコンキャラもアシストフィギュアやMiiコスチュームなどで登場。 関連項目 ストリートファイターシリーズ ファイナルファイトシリーズ
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/8156.html
シレン・モンスターズ ネットサル 【しれんもんすたーず ねっとさる】 ジャンル 育成スポーツアクション 対応機種 ゲームボーイアドバンス メディア 64MbitROMカートリッジ 開発・発売元 チュンソフト 発売日 2004年4月22日 定価 4,800円(税抜) プレイ人数 1~4人(2人以上は通信ケーブルが必要) 判定 良作 風来のシレンシリーズ関連作品リンク 概要 登場キャラクター システム 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 風来のシレンシリーズのモンスター達が行うスポーツ(フットサル)ゲーム。 シリーズ(*1)から流用されているのはほぼキャラクターだけで、ジャンルも世界観も全然別物である。 主人公のシレンは登場しない。あえて言うならプレイヤー(監督)が主人公か。 ルールはフットサルに準拠するが、反則なし・妨害あり・必殺技ありのハチャメチャなゲームとなっている。 登場キャラクター + 折り畳み 選手(サル)と主な出身地 マムル 韓国、アメリカ 最初から「電撃に強い」「忠誠心が高い」の特徴を持つ。特技は持たないが、そのぶん特技使用時のスキがなくスタミナを温存しやすい。 おばけ大根 韓国 「どく草」を投げて、当たった相手を鈍足状態にする。 死の使い イングランド 特技使用時のみ、倍速で移動できる。初期体重が0kgでありフィジカルは弱い。 デブータ 中国、韓国 石を投げて、当たった相手を行動不能にする。敵キーパーにも有効。 ぬすっトド イタリア ボールを盗んで相手ゴール前にワープする。キーパーにするとゴールががら空きになるリスクを負う。 ンドゥバ インド、ウルグアイ ボールに化けて、敵選手をおびき寄せる。「フラフラしない」を持つ相手には効かない。 ゲイズ オーストラリア、パラグアイ、オランダ 催眠術で相手を寝返り状態にする。格上キラー。「忠誠心が高い」を持つ選手とキーパーには効かない。 オヤジ戦車 ドイツ 大砲を発射し、目標地点に達するか誰かに当たると爆発して爆風に触れた者を吹っ飛ばす。 カラクロイド ロシア、アメリカ 地面に爆弾を2つまでセットでき、踏むと爆発する。最初から「爆発に強い」を持つため自爆しない。 チンタラ アジア、オセアニア全域 最初から「炎に強い」「フラフラしない」の特徴を持つ。マムル同様、特技は持っていない。 にぎりへんげ(*2) メキシコ 口から息を吐き、相手をおにぎり状態にする。おにぎりを炎で焼くと焼きおにぎりになり、強制退場させられる。 マルジロウ パラグアイ、アルゼンチン、ブラジル 丸まりタックルで相手を転ばし、持っているアイテムを落とさせる。 タイガーウッホ 南アフリカ、ナイジェリア 選手をつかんで放り投げる。キーパーも持ち上げ可能。長時間投げないでいると自分が行動不能にされてしまう。 パ王 インド、カメルーン 封印の杖を振り、特技を使用できなくする。 ひまガッパ フランス、オランダ、ウルグアイ 特技により投げつけられた物を投げ返す。パ王の杖とドラゴンの炎は投げ返せない。 ドラゴン(*3) ブラジル、アルゼンチン 炎を吐いて、当たった相手を燃え状態にする。「炎に強い」を持つ選手には効かない。燃えている選手に触れると燃え広がる。 マーモ オーストラリア ボールを自分の体に収納し、ボールを奪われにくくなる。木製のためか最初から「炎に弱い」の特徴を持っている。 ンフー スペイン、アメリカ 受けた特殊能力をラーニングして使えるようになる。別の特殊能力を受けると上書きされ、前のものは忘れてしまう。 秘書 高嶋ヒヨ 礼儀正しい日本人秘書。趣味は潜水艦だが一度も乗った事がない。 ジェニファー・ロペヌ アメリカ人チアリーダー。やる気の低い選手を応援し、やる気を上げてくれる。 イザベラ・マルビエーリ セレブなイタリア人。イタリアの選手の内情に詳しい。 ただのにぎ子 にぎりへんげの女の子。モンスター語を話せるとの事だが…。選手達には不評。 おばぁ 出身地不明の老婆。ネットサル業界では知らない人がいない伝説級の知名度を持つ…らしい。 システム 試合ルール フィールダー3人、キーパー1人の4人制。 試合時間は2分ハーフ。 対戦のみ1分や4分に変更可能。能力や必殺技の有無も設定できる。 7点差がつくか15点取ると「ワンサイドゲーム」となり試合終了。 試合中にはフィールドにアイテムが降ってくる。S(スペシャル)を取れば習得した必殺技が発動可能になる。 反則はない。イエローカードやレッドカードもない。 スタミナが切れた選手は自動で控え選手と交代になる。控えがいないときは長時間気絶してしまう。 試合中、選手がランダムでプレーミス(ポカ)をやらかす。集中力の能力値が高いほど出にくくなる。 チーム育成 最初にキャンプ地域と秘書を選択する。選手は秘書が5人集めてくれる。 1ヶ月間の間練習し、仕上げに他チームと試合を行う。 合間に買い物やイベントが起きることがある。お金は試合などで得られる。単位はG(ギタン)。 選手の能力値はE~A・S・SS・☆の8段階。体重(フィジカルの強さ)は0~250kgまで。 練習にはレベル(1~3)があり、練習レベルが高いほど得られる効果も大きい。練習レベルを上げるにはアイテムとして購入するか、試合の賞品として手に入れる必要がある。 特定の練習をすることで特徴が身についたり、必殺技を習得することがある。 選手には「やる気」のパラメータがあり、これが高いほど練習による成果が上がり、試合での動きも良くなる。 練習や試合で「爆発的に成長」することがあり、能力値が段階ごと上昇する。 10か月経過後、優秀な選手をトップチームに登録する。登録できるのは12名まで。 登録が終わったら再度最初から育成のやり直し。ただしストーリーや撃破したチームは引き継がれる。 トップチーム登録済みの選手は最初の育成候補に出て来なくなる。再度育成したければトップチームから外すしかない。 チャンピオンズリーグ トップチームを使用し、リーグに挑戦する。 リーグはサード・セカンド・トップの3種類あり、トップリーグで優勝するとエンディング。 最強への道 サードリーグ優勝後に使用可能になるモード。トップチームを使って対戦し、段位を上げていく。 通信ケーブルを使用すれば、他ソフトのチームデータをもらって登録できる。 プレイヤーは操作できない観戦形式となる。 段位が上がると、トップチーム登録選手の能力が上がる。 逆に言うと、登録した選手をさらに成長させる方法はこれしかない。 評価点 チーム育成1回目はチュートリアルを兼ねており、色々と補足説明が出る。シリーズの「ちょっと不思議」みたいなもの。 育成効率は良くないので、強力な選手を育てるのには向かない。 特定の国制覇などで隠し地域が出現する。隠し地域はキャンプ地に選べない。 フィールドに特徴があり、炎が吹き荒れる・雷が落ちる・能力が使えないなどクセが強い。 炎に強いチンタラや雷に強いマムルを集めるなど、地域攻略専用チームの育成が求められる。 オートセーブ機能により不正対策が徹底されている。 まずい結果になったからといってリセットしても結果は変わらない。 育成を最初からやり直すことは可能。これにより育成スタート時のキャンプ地や選ばれたメンバーが気に入らない場合はやり直しできる。 試合中はオートセーブされないが、試合中にリセットすると強制負けになる。このゲームの元ネタである風来のシレンの経験者にわかる言い方をすると、ダンジョン突入時の強制セーブと同じ。不正防止としては当然の措置である。 本体の電池が切れた場合も同様だが、それを防止するため試合中はポーズからスリープモードへの切り替えも可能。 最近では、練習直後にリセットを行うことによるイベントの完全キャンセル、及び乱数固定を利用した練習での爆発的成長の連続発生などが発見されてはいるがテクニックとして容認されている。(*4) 反則がないので、試合ではやりたい放題。やり方によってはかなり格上のチームにも勝つことができる。 必殺シュートで豪快に点を決めたり、妨害アイテムで敵キーパーを無力化してドリブルで突っ込むなど戦法も自由自在。 時間を巻き戻して得点を無かった事にする、残り時間に関係なく試合を終了させるといったヒキョー(原文ママ)極まりない必殺技もある。 「レイズアップ」というアイテムを取るたびに、次に決めた得点が2点、3点と増えていく。大逆転も夢ではなく、ここぞという時のために必殺技を温存するのも手。 試合で特定条件を満たすと、アイテムがもらえるなどのおまけがある。 条件とはワンサイドゲームで勝つ、1人の選手が3点取る(レイズアップ可)、相手全員をおにぎりにする(*5)などがある。 このおかげで逆転性が高い反面明らかな格下チーム相手にはサクッと決着が付けられ、ダレにくい。 購入やイベントで助っ人選手を育成チームに入れることができる。育成もできるがトップチームには入れられない。 爆裂ヘッドを持つ「うほざわ(タイガーウッホ)」、キングの異名を持つ「ゲズ(ゲイズ)」、勝負弱いFW「にぎりさわ(にぎりへんげ)」など実在人物をモデルにしている。 中には「ジャッキー・チン(チンタラ)」、「イジロー(マルジロウ)」などサッカー選手ですらない助っ人も。 エンディング後も続行可能で、やり込み要素は高い。 隠し地域全解放、育成効率を吟味して最強選手の作成など、やれることは多い。 隠し地域の強力チームもトップリーグに参戦してくるようになるので、手ごたえがさらに上がる。 賛否両論点 育成・試合とともに運要素が強め。 爆発的成長の効果が非常に強く、なおかつ爆発的成長の発生確率はやる気の高さや試合相手の強さなどが関係しない運任せとなっているため、ある程度以上能力値の高い選手を育てられるかはこれがどれだけ発生するかという運任せになっている。 練習で爆発的成長が発生した場合おおよそ練習4回ぶん以上の効果、試合で爆発的成長が発生した場合ポジションにもよるがおおよそ練習10回ぶん以上の効果となる。なお、1体に練習させられる回数は10ヶ月通して基本的に最大40回で、狙ってこれ以上の回数にすることはできない。 おおよそ全能力値B~A程度までの能力値であれば運がそれほどよくなくても実力次第でぎりぎり狙えるが、全能力値S以上となるとどれだけ実力が高くてもこの爆発的成長が発動しない限り到達不可能。能力値に関しては、運の悪さを実力で補うという要素は風来のシレンよりも乏しい。 余談だが、敵チームの中には全能力値S以上レベルのチームがある。ただし当該チームは隠し地域にしかいないため、やりこみプレイヤーのための存在としてみればこれは問題ではない。 特徴や必殺技も「条件を満たした上でランダム」というもののため、育成開始時から狙っても最後まで取れないこともある。 試合も特殊能力によりGKを無力化する手段が多く、能力差があっても得点されやすい。必殺技とアイテム(特にSボールとレイズアップ)が絡むため逆転性がかなり強め。 これにより、CPU相手だろうと格下相手だろうと良くも悪くも油断できないバランスになっている。 問題点 育成データが一つしか作れない。 一回きりのイベントも多いため、秘書別の反応を見たいなどといった場合は最初からやり直さなければならない。 チーム名やチームカラー、エンブレムの変更も不可能。 チームカラーはホームとアウェイの2種類選べるが、同一チームは全員同じ色になる。 同じ種族の選手を複数起用する場合に見分けがつかない。特にCPUチームは特色を出すためか4人全員同じ種族というチームも多く、まぎらわしい。 種族のバランスがやや悪い。 マルジロウが強すぎる。 特殊能力の丸まりタックルはお互いの能力値に関係なく相手を吹っ飛ばせるうえ、防げる特徴が存在しない。ボールを持ったキーパーも吹っ飛ばしてボールを奪ってシュートといったやりたい放題も(*6)。 そもそも至近距離限定とはいえ隙が少なく絶対に成功するという性質自体、通常のタックルアクションの使う意味を無くしタックル能力値を上げる手間を消しているのが壊れ気味。 唯一パ王の封印で使用不能にしておくことはできるが、「封印よけ」を持っているとどうしようもない。こうなると操作していれば完全に通常のタックルを使用する機会がなくなる。 しかもほぼ唯一、敵のアイテムを落とさせることができる効果もある(*7)。他の種族より段違いで必殺技を連発でき、他の種族からすればアイテムによる妨害や必殺技の使用機会をすぐに奪われてしまう。 使いづらい種族も多く、特にオヤジ戦車は筆頭。 オヤジ戦車の大砲は敵味方問わず爆風の当たり判定があり、1人出場しているだけで選手が吹っ飛びまくる大荒れの試合になりやすい。原作通りの仕様ではあるが。 無効化特徴の「爆発に強い」をカラクロイドが初期から持ってはいるが、カラクロイドの爆弾設置も「爆発に強い」がないと味方にも当たる困りもの。一応、こちらは設置技ということでオヤジ戦車よりは邪魔になりにくいが。 オヤジ戦車本人は「爆発に強い」を初期状態では持たないため、至近距離の選手に砲撃し自分もろとも吹っ飛ぶことがある。CPU操作のキャラにするにはずいぶん難がある種族である。原作では自分自身の砲撃でダメージをくらうことはないのだが……。 「爆発に強い」を習得するにはチームメイトにオヤジ戦車が必要になる。これをオヤジ戦車自身につけるにはチームに2名もオヤジ戦車を入れるというリスクを負わなければならない。 ドラゴンの炎も敵味方問わず当たり、特殊能力も「炎に強い」がないと選手やボールを介して燃え広がる。こちらの特徴は練習で付けられるのでまだマシか。 この二種族は味方全員に無効化特徴をつけること前提の上級者向け種族となっているが決して弱いわけではない。そのハードルを越えられれば強力な種族として機能してくれる。 ドラゴンはにぎりへんげと組んだ時の「焼きおにぎり」という強力な戦術(*8)もある。 必殺技のランダム性が高い。 必殺技を複数覚えていると、Sボール習得時にランダムに抽選される。使いたい必殺技が出てこないと一度他のアイテムを取得してから再度入れ替えるしかない。 せっかく強力な必殺技を覚えても、別の必殺技を覚えると抽選率が下がり、組み合わせによっては弱くなる。 必殺技のほとんどは練習中に勝手に覚えるというのも困りもの。習得イベントが起きた瞬間にオートセーブされるため、リセットしても取り消せない。 総評 スポーツというよりハチャメチャバトルだが、ゲームとしての出来は良く、2分ハーフという試合の短さもありテンポも良い。 キャラクター以外はほとんどオリジナル仕様であり、シレンシリーズを知らない人でも問題なく遊べる。 操作説明やチュートリアルも充実しており、やり直しも容易、戦法次第で格上に勝てるなどの要素でアクション苦手な人にもお勧め。 一方でシリーズの中ではかなり異端な作品であるのも事実で、本家のようなゲーム性を期待してはいけない。 余談 最新ゲーム機に配信や移植はされていない。考えられる理由としては、どこでもセーブ機能を使うと不正な育成ができてしまいゲームにならないからだろう。 そういった機能がある本体で遊ぶ場合でも、使わない事をお勧めする。 マルジロウは原作の『風来のシレン2』でも味方にするとバランスブレイカーと評されている。 『風来のシレン5』のモンスター図鑑で、本作に登場するモンスターの一部が本作をネタにしている。 『風来のシレン6』のもののけ道場のメニュー画面で、本作のアレンジBGMが使用されている。 また、行商人に「ナゾーさん」という名前が付いており、本作に登場した行商人と同名である。
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/5633.html
SDガンダムワールド ガチャポン戦士2 カプセル戦記 【えすでぃーがんだむわーるど がちゃぽんせんしつー かぷせるせんき】 ジャンル シミュレーション アクション 対応機種 ファミリーコンピュータ、MSX 発売元 【FC】新正工業【MSX】バンプレスト 開発元 【FC】ヒューマン【MSX】オペラハウス 発売日 【FC】1989年6月25日【MSX】1990年5月25日 価格 【FC】6,800円【MSX】8,600円(共に税別) 配信 バーチャルコンソール(FC版)【Wii】2011年2月5日/500Wiiポイント 判定 良作 SDガンダムシリーズリンク 概要 システム 評価点 問題点 賛否両論点 総評 その後の展開 余談 概要 拠点でユニットを作り、それらで都市の占領と敵との戦闘を行いながら敵軍の本拠地の占領を目指す、1対1のウォーシミュレーションゲーム『SDガンダムワールド ガチャポン戦士』シリーズの第2作目にあたる作品。 第1作の『SDガンダムワールド ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ』のシステムはそのままに、機体やマップ、武装の追加や、AI思考の高速化、ルールの微調整などが行われている。 ユニット同士の戦闘にプレイヤーの直接操作というアクション要素を取り入れているという点が最大の特徴であり、これによってこの手のゲームでは有名な『大戦略』や『ファミコンウォーズ』などとは全く趣が異なるゲームに仕上がっている。 システム まずプレイヤーはプレイするマップを選択し、次に各軍のコントロール(プレイヤーまたはCOM)、初期状態の軍の規模及び資金を設定する。 マップには本拠地であるガチャポリス、ユニット生産を行うガチャベース、占領状態で収入とユニットの回復をもたらす都市があり、それらを奪い合いながら、最終的にガチャポリス占領による勝利を目指す。 都市はインカム150、補給基地は50。 ユニットはそれぞれに生産に必要なコストとターン数が設定されている。ユニットのロールアウト前に該当のガチャベースが占領された場合は、ユニットもそのまま占領した側の所属になる。 占領は基本的にユニットがタイルに重なるだけで完了するが、ガチャポリスの占領のみそこを防衛する"武者Ζガンダム"を撃破しなければならない。 ゲームはターン制。各ユニットは1ターンに1回行動できるが、軍全体の行動回数はターンあたり最大12回という制限がある(*1)。 この行動回数はユニット生産でも消費される。なおユニットの最大保有数は32。 最大保有数はマップに出ている機体のみが対象なので、ガチャポリスやガチャベースでその間も作ることは可能だが、やられて減るまで出すことができない。 戦闘は敵ユニットのいるタイルに侵入する形で行われる。60秒の時間制限があり、それまでにどちらかが破壊されなかった場合は残りエネルギーの多い側の勝利で、負けたほうのユニットがタイルからはじき出される形で決着がつく。 重なったタイルの地形によって戦闘時のマップも変化する。 前作には無かった(*2)追加要素として、戦闘開始直前にユニットの操作をオートに変更して戦闘パートだけCPUに任せるということも可能になった。 ただし担当CPUは最弱のマ・クベであり、相手もマ・クベで互角、バスク以上には一方的に負ける。 砂漠での戦闘時は戦艦と変形ユニットを除き移動速度がダウンするようになった。 戦闘中、一定のタイミングでランダムなアイテムが出現し、獲得した側に様々な効果を及ぼす。前作にも登場した時計、力(ちから)ドリンク、激走足袋、お札、そして今作で新登場した獲得側の資金を増やす「招き猫」の計5種類。 招き猫は出現から早く取るほど資金が多く増える。 ユニットの攻撃方法として、Aボタンの遠距離攻撃とBボタンの近接攻撃のほか、A+Bボタンの特殊攻撃が追加された。 武装はユニット毎に異なり、近接攻撃がないユニットや、特殊攻撃が「変形」ユニットなども存在する。 特殊攻撃には変形とメガ粒子砲を除き弾数制限がある。1戦闘終了ごとに補充される。 戦艦ユニットは直接戦闘の他、ユニットの搭載(ダメージを負ったユニットであれば、ある程度の回復も行う)や間接攻撃も行うことができ、大気圏以外のどの地形でも移動力の消費が1で固定されていて遠くまで移動できる。ただしその代償として占領行為を行うことはできない(*3)。ユニットを搭載したままの戦艦ユニットが破壊された場合、搭載中だったユニットも一緒に失われる。 評価点 最大の不確定要素「アクション戦闘」 シミュレーションというのは突き詰めてしまえば「数字を管理する」ゲームである。各データを分析し、リソースを適切に分配し、相手より有利な条件を作り、確実に勝利を手に入れる。そのために知恵を絞る事が醍醐味であるのだが、これは裏を返せば「最適解が存在する(そもそもそれの追求がプレイヤーの目的であるのだから当然なのだが)」「先が読めると興が削がれる」という構造的欠陥を抱えるという事でもある。本作が優れているのは、「勝利」という結果の直前に「アクション」という不確実な要素を詰め込むことで、この欠陥を克服している点である。強い編成が必ず戦果を挙げてくれるとは限らず、逆に弱い編成が期待以上の活躍を見せてくれることもありうる。その「強い」「弱い」についても、3ターンかけて高いユニットを作るよりは1ターンでできる安いユニットを3機作る方が「強い」かもしれない。だからといって考え無しに数を増やせば、行動回数制限に引っ掛かり軍が遊んでしまってかえって「弱く」なるかもしれない。機体や戦う地形についてもプレイヤーの得手、不得手が絡んでくるため、最善手は決して一つではない。そしていくら最善を尽くしてもそれが「正解」であったかは、やってみるまで分からない。また、アクションであるがゆえ、それが戦略上必要あるいは許容されていた物だとしても敗北はやはり悔しいし、大勢が決して後はもう決着を長らえるだけの戦闘でも勝てば嬉しいもの。戦力が拮抗している状態であればなおさら熱も入るというものだろう。「勝率や命中率、発動率といった運否天賦」や「ユニット相性といった予め結果が決められている」類の戦闘では得られない興奮がそこにはある。このように、本作はアクションとシミュレーションを融合させた結果、ゲームの先が見えにくく、プレイヤーの熱がさめにくい作品に仕上がっている。 アクション部分をオートに変更できるようになったため、ユニットを配置するのは楽しいがアクションは苦手なのでCPUに代打を頼むといった救済処置のような運用や、あえてCPUに任せることで戦闘をより不確定な状態にした上で作戦を練るといったプレイスタイルも可能になった。 ディスクからロムカセットになったことで戦闘になる度いちいち読み込んでいた動作がなくなってゲームの進行がスムーズになった。 HP回復が拠点に居るだけで自動的に行われるようになった。 回復はフェイズチェンジ時に1回(1ターンに2回)行われる。回復量は都市が10%、戦艦搭載時が20%、補給基地が100%。 個性豊かなユニット達 総ユニット45種という数の多さもさることながら、その一体一体にきちんと見るべき特徴があるのもこの作品の魅力の一つである。戦闘力、移動力ともに最低だが、コストも最低で近場の占拠や捨て石に最適な「ザク」、陸上の戦闘はからっきしだが、水中では無類の強さを誇る水陸両用MSの「ズゴック」、変形による当たり判定の縮小と拡散ビーム砲による引き撃ちがいやらしい「バウンド・ドック」、チャージ中は無防備だが、当たれば凄まじい威力のハイメガ粒子砲が売りのロマン機体「ΖΖガンダム」など、個性溢れるユニットが揃っている。コンセプトが似通った機体はどうしても存在してしまうが、それでも基本スペックや武装、必要ターン数など細かいところで差別化が図られており、例えば「頭数が欲しいから高性能のカプールを1機作るよりズゴックを複数生産」「前線は遠いし行動回数制限もきついからカプール1機にしよう」といった風に、状況に合わせてそれぞれを使い分けることもできる。可変機は変形すると武装がAボタンの遠距離攻撃だけになる、その威力も極小の「2」に低下、真上と真下に弾が飛ばなくなる等、攻撃面では弱体化するが、当たり判定の縮小・移動速度が最大・受けるダメージが半減といったメリットがあるので、タイムオーバーまで逃げて判定勝ちを狙ったり、格上相手でもしぶとく粘って相手の行動回数を余計に消耗させたり、なんてことも出来る。プレイを重ねれば、お気に入りの機体というのもきっと生まれるだろう。そしてその機体はそのプレイヤーにとっては、マシンスペックの何倍もの働きをしてくれるかもしれない。常に合理的な判断で運用するも良し、一つの機体を贔屓にするも良し。作るのも動かすのも壊すのも自分であるから、文句を挟む者などいるわけがない。すべてはプレイヤーに委ねられている。 コミカルなSD要素 本作はまぎれもなくウォーシミュレーションであるが、血と硝煙の匂いが漂う生々しい雰囲気は皆無で、SDガンダムらしい、可愛らしくてどこか間の抜けた世界観が構築されている。間接攻撃を敵に当てれば「ヒェ~」と悲鳴をあげ、外れれば「へたくそ」と罵られる。勢い余って味方に撃てば「コラ~!」と怒られ中々芸が細かい。(*4)戦闘においても、「いきま~す!」のお決まりの台詞と共に草原に出ればアッガイ型のモグラがひょっこり顔を出し、水中では当たり前のように竜宮城が鎮座し、都市では「BANDAI」のビルが無数に立ち並ぶといったお茶目さがうかがえる。ユニット生産画面では、「GUFUFUFUFU イチオウツヨイゾ ZAKUトハチガウノダヨ!」(グフ)「ウウッ アタマガオモイ~ エ~イ ミサイルノミダレウチジャ~!」(ズサ)というようにユニット一体一体にコメントが添えられており、カタログをめくるだけでも楽しい。そしてゲームの終了時には、戦争ゲームにしてはやや皮肉の利いた"オチ"がプレイヤーを迎えてくれることだろう。 + 衝撃的?な結末。 敵軍のガチャポリスを占領し、銃を乱射し狂喜乱舞するガンダム達。 感極まったΖΖ-Gが祝砲とばかりにハイメガ粒子砲を空に撃ち上げる。 しかしそれが運悪く宇宙空間のコロニーに直撃。空が真っ赤に染まり、唸りをあげて落ちてくるコロニー。 憐れ占領したガチャポリスは廃墟と化すのであった…。 問題点 ファミコン故の限界 前作と比べて強化されたとはいえ、FCの限界からか敵AIの行動ルーチンはやはり洗練されているとは言い難い。例えばユニット生産は状況や強さをあまり考慮せず常に高コストの物を選び、生産可能であれば戦艦の数を揃えることを優先する傾向がある。よって「敵ユニットがガチャベースのある陸地に上陸しているのに水陸両用MSを生産」「コストの高い戦艦を多数作る→ユニットを搭載しないまま前線に投入、資金大幅減少→戦艦より安いユニットを生産→輸送してくれる戦艦は、すでにみんな前線に行ってしまっていて後詰が置いてけぼり」といった事をしてしまう。戦闘においては、正面切っての撃ちあいや切りあいにはめっぽう強いが、地形に引っかかって動きが止まってしまったり、突然攻撃の手を止めてしまったりといった不自然な挙動をすることがある。 決着までの長さ 本作を「1戦闘が最大60秒かかるファミコンウォーズ」と表現すれば、どれだけ時間がかかるゲームかが容易に想像できるだろう。AI思考も前作に比べて高速化したとはいえ、やはり待たされるストレスは少なからず存在する。また、対人戦ではお互いの実力が拮抗すればするほど戦況が硬直してしまうため、「先が読めて興が削がれる」のではなく、「いつまで経っても終わらなくて興が削がれる」という事がままある。 あまり深く考えずにライトに楽しむことも可能だが、ガチで取り組むとなるとユニットの布陣のみならず自軍の経済管理(収入 支出)も計画的にこなさなければならない。 各マップも広大なものが多く(*5)、開始から数十分は交戦できない、なんてこともザラにある。 高レベルのCPUの連射が理不尽 ハマーンやシャアといった高レベルのCPUは、人間の手動ではほぼ不可能な程の連射で攻撃を行ってくる。攻撃を受けると、受けた側の攻撃がキャンセルされるという仕様上、ファンネルや拡散ビーム砲等の攻撃の出が速い武器を持つ機体に接近されてしまうと、反撃も回避もほぼ出来ず、完封されてしまう事もある。原作のシャアは接近された場合ビットが使いこなせなかったが、本作では全く逆である。 CPUの強さの格差 CPU同士を対戦させた場合、マ・クベとバスク、ハマーンとシャアでは、かなり拮抗した勝負になるのに対し、バスクとハマーンではハマーンが一方的に勝ってしまい、CPUの強さにバスクとハマーンの間に大きな壁がある。(*6)見方を変えれば、マ・クベとバスクの弱さはアクション戦闘パートが苦手な人向けのハンディキャップ用のキャラという風にも捉えられる。 もっとも原作からして、その通りの強さではあるのだが。 ユニット上限は前作と変わらず32まで。 常にガチャポリスで1つずつしか生産できなかった前作と違い、本作ではガチャベースが導入されたことにより最大7機まで生産できるのに、その保有最大数が変わらない。 前作程度の広さでガチャポリスのみまたはそれとガチャベース1つ程度の小さいマップならまだしも、ガチャベースも初期時点で3つ4つ(ガチャポリス含めると更に+1)あるような広いマップでは、その少なさが如実に感じられる。 併せていらないユニットを処分できないのも足枷となる。ワザとやられるために突撃させても1コマンド失うことになる。 高コスト戦艦ユニット「ラー・カイラム」が高値の割にコストや必要ターン数に見合っていない残念性能。 その1ランク下の戦艦「レウルーラ」に対して移動力で1、HPで8上回るだけなのにコストは3000も高く、必要ターンで1ターン長い4ターンもかかる。ちなみに4ターンかかるのはこのユニットのみ。 ゲーム開始時の設定で初期資金をいきなり設定可能範囲での上限の99950で始めることも可能になった点も相まって、「とりあえず一番高いのを買えばいい」と単純に考えるプレイヤーが陥りやすい罠とも言えるような印象に。 自分で使って微妙ならCPUが使えば話は変わるのでは…と思いきや、前述の戦艦を重視するCPUですら、ラー・カイラムが生産可能な資金を持っている状態であってもレウルーラを選んでしまうため、敵として見かける機会もほとんどない有様である。 ボスの武者Zガンダムの武器が全然違う。 本来の武器は長刀と刀、SDガンダムからは追加で弓とタネガシマライフルであるが、本作ではファンネルのように浮かせたひょうたんから二連ビームを放ってくる。 近接武器はビームサーベル。前作の武者ガンダムのビームナギナタには命中率で劣るが、威力が半端なく高い。 特殊武器としてなぜかハイメガ粒子砲を装備。チャージ完了までが本家ZZよりも早い。 本作では新登場で機動性抜群のニューガンダムなども登場し前作程アドバンテージは大きくなくなったが、チャージの早いハイメガ粒子砲でバランスがとられてはいる。 一人でCPUとプレイする際、自分が赤軍を操作する時が手間。 赤軍でプレイするには、2P側にコントローラーを刺さないと操作を受け付けない上、戦闘を開始する際には1P側のコントローラーでスタートボタンを押さないといけない。 つまり、対CPUかつ赤軍でプレイする場合は、一人で二つのコントローラーを操作する必要がある。 また、このゲームには途中でセーブする機能もあるのだが、そのメニューを呼び出す時も1P側でセレクトボタンを押さなければならない。 本作発売当時のファミコンは1P2Pの2つのコントローラが本体に直付けされていた形(コントローラーが一つしか無い状況はまずない)なので、この仕様でも問題にならなかったのだが、バーチャルコンソールや互換機の登場で問題になってしまった仕様である。 赤軍の資金計算が数値通りに行われない。 計算にバグが発生しているようで、現在の所持金を示す「CT」のパラメータの2桁目がなぜか切り捨て状態になっている。 例えば、1ターン毎の収入が「450」の状態でターンを経過させると、普通の計算であれば450→900→1350→1800...となるはずだが、2桁目の「5」の部分が完全に無視されて「400」として扱われ、450→850→1250→1650...となってしまう。 このせいで、赤軍が強制的に資金面のハンデをほんの少し負っている状態に。 影響が小さく、気付いたプレイヤーもあまりいないのが不幸中の幸いか。 賛否両論点 やや不自由な戦場 前述のとおり、ユニット毎に個性があるのは本作の大きな魅力だが、戦闘ではその性能を常に100%発揮できるわけではない。障害物が多く攻撃が通りにくい森、水陸両用以外のユニットはまともに動かない水中、大きな慣性が働き思い通りに動かすことが難しい宇宙空間、常に下向きのベクトルが働き最下層ではダメージを受ける大気圏など、ユニットはほとんどの地形で何かしらの干渉を受ける。また、動く障害物として機能するお邪魔キャラや、戦況をひっくり返してしまうかもしれないアイテム(*7)など、実力とは関係のない領域で勝敗に影響する要素も多少存在する。特に、この動く障害物は、引っ掛かると、大抵の場合、敵との距離を大幅に縮められてしまう事になり、対CPU戦においては、CPUの連射の性能もあり、ほぼCPU側に有利な要素となってしまっている。もちろん、これらの要素が機体や武装の差別化や、下位ユニットが上位を打ち破る機会の増加等に一役買っていることは言うまでもない。しかし、本作をシミュレーションよりアクション寄りで楽しみたい、つまり「小難しいことは考えずに強い機体で思う存分暴れたい」というニーズにはやや応えづらいバランスとなっている。 ユニット間の格差 コストの割に性能が低くて役に立たないユニットや、逆に性能が良すぎて他のユニットの存在価値を食ってしまっているユニットが存在する。それらを使っていくには愛が必要になる。 本作は海マップが多く、サーベル追加で強化された水陸両用MSの出番が多い。しかし「ゾック」は生産に2ターンかかるため出遅れが響きやすく、1ターンで作れる「ズゴック」、同じく2ターンかかるが移動力が高い「カプール」を使い分ければ生産する必要がなくなってしまう。 「ゲルググ」や「ドライセン」が持つ近接格闘のビームナギナタはうまく当てれば2ヒットするが、1ヒット分の威力が同じレベル帯のユニットが使うサーベル1ヒットの半分程度であるため、2ヒットしなければそれらと同等のダメージが出せない。接近戦で猛威を振るった前作を反省したのか異常なほど弱体化している。実際に殴り合ってみると大抵はナギナタが2ヒットする前に敵の近接攻撃が割り込んでくるため、ゲルググはグフと、ドライセンはガンダムと近接攻撃の差し合いになるとダメージ負けしてしまう。 拡散ビーム砲は当たりやすいが、威力は普通のビームの半分くらいしかないので脅威度はむしろ低い。 「マラサイ」と「バーザム」だとバーザムのほうがコスト100多いが、性能の違いはバルカン砲の弾数が5多いだけ。 「ジェガン」と「ガンダム」だと、ガンダムのほうがコスト100多いが、ビームサーベルの威力が段違い。 「ズサ」は同価格帯のユニットと比較して移動力が微妙に低いせいで前線に向かうだけでも一苦労。戦闘ではスピードが最低値、頼みのミサイル50発はなんとザクマシンガンと同じ威力しかない等、残念なスペックになってしまっている。 「ジオング」や「ZZ」のメガ粒子砲は専用の溜めゲージが表示され、溜め中には甲高い音が鳴り響くため、溜める行為自体はバレバレ。もちろん、溜め中は他の武装が使えなくなるので、溜め終わるまでは敵をかわさなければならず、特に溜め時間が最長のZZは当てに行くだけでもロマンの領域。しかし、それだけの威力は確かに備えており、実際に決まった時の快感は他のユニットでは味わえないものではある。 「ジ・O」は同価格帯の通常ユニットに比べて移動力が1低い。原作再現だろうか? 戦艦ユニット「ムサイ」の安価に見合わない異様な強さ。 殆どのプレイヤーはある程度慣れてくると、ムサイが驚異的に有用だということに気づいてしまう。 大抵のガンダムゲーでは安価だが性能は劣悪なジオンのやられ役旧式戦艦という扱いだが、本作のムサイは低コストに見合わぬ高い戦闘能力と移動力を兼ね備える強ユニットであり、それに加えて戦艦なのでMSを搭載できるし遠距離射撃もお手の物。中級者以上の対決では、布陣がムサイだらけになることに…。 ムサイに続けて1ターンで作れる「ガンダムMKII」「百式」「Rジャジャ」などを乗せてから移動すれば、悪路をものともしないお手軽輸送ユニットが完成する。自らは占領できないという欠点もこれで解消できてしまう。 戦艦なので砂漠で足を取られず、もたついている敵MSを自ら奇襲することも可能。 原作ではドレンが率いるパトロール艦隊が10代クルーだらけのホワイトベースとガンダムにけちょんけちょんにやられていたが、同じことをゲームで再現しようとすればガンダムは近づくことすらできず遠距離射撃で蜂の巣にされるのがオチ。 総評 SDガンダムのブランドに頼ったキャラゲーと侮るなかれ。本作は紛れもなくれっきとしたシミュレーションであり、れっきとしたアクションゲームである。 古今東西のガンダムゲーを見渡しても、本作のように司令官としても、パイロットとしても満足することのできる作品は珍しいのではないだろうか。 FCシミュレーションの中では最古参にあたる、古い古いゲームだが、手に触れてもらえば今でもその魅力は色あせていない事がわかってもらえるはず。 その後の展開 Wiiのバーチャルコンソールでの配信が行われていたが、現在はサービス終了している。 続編として1990年12月22日に『SDガンダム ガチャポン戦士3 英雄戦記』が発売。 これまでのようなフリースタイルなバトルシミュレーションではなく、原作再現を主眼に置いたものになっている。バトルもアクションではなくなりコマンド選択方式になった。 また、戦国伝や外伝といったSDガンダムシリーズならではのストーリーも組み込まれている。 ゲームボーイで『SDガンダム SD戦国伝 国盗り物語』を1990年3月29日に発売。 この作品では戦国伝のみに特化しつつ、本作のスタイルであるアクションバトルを取り入れたものになっている。 上記の通りシリーズ作品では次の『英雄戦記』からアクションバトルが廃止となり次にそれが取り入れられるのは3年以上後の『スーパーガチャポンワールド SDガンダムX』(1992年9月発売・スーパーファミコン)まで長い間おあずけとなる。 ただ、この作品は人間(パイロット)の概念がないフリースタイルな対戦ゲームではあってもそれぞれ生産が軍に紐づいていたり拠点占領数で勝敗を決めるなど少々勝手が違うため本作ほどフリーダムなスタイルではない。 余談 前作は「マップコレクション」も含めてシャアの顔グラは「機動戦士Zガンダム」でのクワトロ・バジーナをベースにしていたが、本作では当時最新作の「逆襲のシャア」ベースに変更されている。 同年3月3日にディスクの書換え専用として発売された『SDガンダムワールド ガチャポン戦士スクランブルウォーズ マップコレクション』のタイトル画面で、本作の予告をしている(*8)。 このような形での続編予告は非常に珍しいものだった。 元々本作もディスクソフトとして1988年内での発売予定だったが、結果的にはカセットとなり発売時期も大幅に延期する形になった。 本作初登場の「リ・ガズィ」は1988年3月公開の劇場版アニメ「逆襲のシャア」で登場したMSで「リファインゼータガンダム」の略、つまりZガンダムの量産型である。 講談社の攻略本では、その説明が「MK-IIの量産型」と思いっきり誤記されていた。そもそもMK-II自身がある意味で量産型と言えなくもない。なおMK-IIの発展形にあたるのがZガンダムである。 またMK-IIは「機動戦士Zガンダム」が初出ながら前作や『機動戦士Ζガンダム ホットスクランブル』に出ていなかったため、地味なところで本作がゲーム初登場となった。 当時は新作ソフトの売上が不振で『ファミリーコンピュータMagazine(通称『ファミマガ』)』の売上ランキングで前年10月23日発売の『スーパーマリオブラザーズ3』が4月3日週からなんと7週も連続でトップに居座るという異常事態があり、いくらビッグタイトルとはいえ発売から半年以上を経ているので売上本数自体はそこまで多くなかったにもかかわらず、4~5月発売の新作ソフトの面々が揃いも揃ってその後塵を拝した事態は「マリオ3が凄い」というより「そんな新作ソフトの面々が情けない」と酷評されていた。特に5月に入るとさすがのマリオ3といえども店頭で常に手に入るほどになり週あたりの売上はB級ソフトの初週以下レベルに落ちていながら、どの新作も肉薄することすらできなかったのだから、そんな酷評をされるのも無理はなかった。 8週目で『スーパーチャイニーズ2 ドラゴンキッド』(5月26日発売)が僅差で辛うじて1位をもぎ取ったことで一旦はストップしたものの新作のなかった翌週は再びマリオ3が1位に返り咲き、売上本数自体は更に落としながらも3週連続売上ランキングのトップに居座られていたが6月最終週に本作がとうとう大差でマリオ3を2位に退けたことでついに当時の新作の不名誉な事態はようやく終焉した。これ以後マリオ3は新作のない週に単発でランキング1位になったことはあったものの連続でトップを独占するようなことはなくなった(*9)。 現在においてはガンダム関連の商品はほぼバンダイが独占しているが、本作は珍しく販売元が新正工業となっている。同社はバンダイの関連会社ではあるが、当時はコンシューマーゲームについては大抵バンダイかバンプレスト販売であったため珍しい事例であった。 脚本家、小説家の小太刀右京氏は、「好きなガンダム関連のゲーム」に本作を挙げている。
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/9303.html
ファミリートレーナーシリーズ7 ファミトレ大運動会 【ふぁみりーとれーなーしりーずせぶん ふぁみとれだいうんどうかい】 ジャンル 体感型スポーツ(運動会) 対応機種 ファミリーコンピュータ(ファミリートレーナーB面使用) 発売元 バンダイ 開発元 ヒューマン 発売日 1987年11月27日 定価 4,900円 プレイ人数 1~6人 判定 良作 ポイント みんなでワイワイ楽しめて体力アップ走るだけの競技でもアレンジが上手い一風変わったレースも楽しめる ファミリートレーナーシリーズリンク 概要 内容 競技の詳細 評価点 問題点 総評 その後の展開 余談 概要 『マットコントローラー』を使って足で走ったり跳んだりしてキャラを動かす「体でするゲーム」の『ファミリートレーナー』(通称『ファミトレ』)のシリーズ第7弾。 シリーズは当初スポーツ系から始まって、第5弾『迷路大作戦』第6弾『マンハッタンポリス』と2本続けてゲームらしい路線で展開していたが、久しぶりにスポーツ系のゲームとして発売。ある意味原点回帰となった。 運動会系ゲームは史上初作品である。また『ファミトレ』は元々『ファミリートレーナー』の略称だったが本作では初めてそれを正式名称に据えている。 「運動会」ということもあって1人でクリアーしていくステージクリアではなく対戦プレイを重視しておりファミコンでは初めて6人がリアルタイムで対戦できる。 内容 運動会らしくチーム対抗戦になっていて、白組側がマットの左側(青色の1・2・5・6・9・10)、紅組がマットの右側を使用する(赤色の3・4・7・8・11・12)とマットキーを左右半々に使う。 同じようなスタイルの『ランニングスタジアム』と違って、前列・中列・後列それぞれが違った役割を持っている。 競技は大きく分けて4種類。 障害物競走 障害レースA障害レースB大障害レース障害リレー 綱引き ムカデ競争 スケボーレース いずれの競技も画面がタテ3分割で上段が白組プレイヤー、中段が紅組プレイヤー、下段がコースの進行度合いの表示になっている。 下段はスタートとゴールの位置と、プレイヤーがどれほどの位置にいるかを表示している。 ゲームのモードは4種類。 1人プレイCPU相手にプレーする。CPUは3段間の強さがあり「KOKERU(コケル)」<「KAKETA(カケタ)」<「HAYATO(ハヤト)」の順に強くなる。 対象競技 大障害レース障害レースA障害レースBスケボーレース 2人プレイプレイヤー同士で対戦する個人戦。競技のバリエーションは「1人プレイ」と同じ。 2チームプレイプレイヤー同士で対戦する団体戦。 対象競技 ムカデ競走綱引き障害リレー トーナメント上記「2チームプレイ」のトーナメントで6チームで戦う。競技のバリエーションは「2チームプレイ」と同じ。 競技の詳細 障害物競走 本作のメインのモードで、6通りの障害、7通りの区間がある。 丸太越え 丸太に向かってダッシュしてタイミング良くジャンプして越える。 越えられなくても、丸太の上に着地して走ってもOK。 大玉ころがし 走って大玉に体当りして転がす。 早い足踏みでちょこちょこ当たるだけでなく、一旦バックして勢いをつけてぶち当たることで転がる距離を延ばすのも手。 プール越え 長いプールをジャンプして越える。プール内に落ちたら走ることで画面ではキャラが泳ぐので、それで抜けることもできるがスピードはかなり遅くなる。 上記「丸太越え」にも似ていて、走って勢いをつけてジャンプすることで一気に越えるも手だが、幅があるので一気に全部越えることは難しく、いくらか泳ぐことは前提にしなければならない。 カニカニレース カニの着ぐるみに入ってヨコ向きで歩く。 プレイヤーも股を大きく開いて左側の前列と後列(白組側は「1」と「9」、紅組側は「3」と「11」)でカニ状でヨコ歩きをする。 壁越え 高い壁を助走をつけたジャンプで越える。 前述の「丸太越え」「プール越え」とは反対にヨコ幅はないが高さがあるので高くジャンプすることが要求される。そのために、助走距離を伸して勢いをつけるべく一旦後退することも有効。 ただ垂直な「壁」だけでなく、その上が平均台のようになっている部分もある。また丸太同様壁の上に一度着地して降りることもできる。 シャボンレース 前かがみになって、足でマットの中央部分(白組側は「5」と「6」、紅組側は「7」と「8」)を抑えながら手でマットの前列部分(白組側は「1」と「2」、紅組側は「3」と「4」)を連打して風船を膨らまして、その中に入って走る。 風船に入ると少々走りが不安定になるので、風船の中でのキャラの位置を安定させて走る必要がある。 ラストスパート 最後の直線で、ここは普通にダッシュする。 上記7区間組み合わせを変えて下記4通りのレース方法がある。 障害レースA 丸太越え→プール越え→壁越え→ラストスパート 障害レースB 大玉ころがし→カニカニレース→シャボンレース→ラストスパート 大障害レース 丸太越え→大玉ころがし→プール越え→カニカニレース→壁越え→シャボンレース→ラストスパート 障害リレー 第1走者・丸太越え→大玉ころがし 第2走者・プール越え→カニカニレース アンカー・壁越え→シャボンレース→ラストスパート 大障害レースを二つに分けたのがAとBになる。 リレーは画面上で、次の走者が待機しているグラフィックになっているので、それに合わせて人間もタッチする形になる。 綱引き(1対1~3対3) 2チームに分かれて、それぞれのエリアでひたすら足踏みをする。 足で後ろに踏ん張っている感覚で、たくさん踏んだ方に画面上のキャラが引っ張られていく。 30秒の制限時間が切れた時、中央のリボンがどちらにあるかで勝敗が決まる。相手のチームをセンターラインまで引っ張り切れば時間を待たずして勝敗が決する。 ムカデ競争(3対3) こちらは3人同士での競争だが、上記の綱引きとの違いは、3人の足並みがそろっていないとつんのめって転んでしまうことにある。 コース自体は一直線なので3人の歩調合わせが肝要となる。 転んだ状態でも足踏みすることで立ち上がりを早めることができる。 スケボーレース 2人でスケボーを操って対戦。 2ラインの道路をスケボーで左右にスラロームしながらゴールを目指す。 チェーンポールとハードルはジャンプで、それ以外の障害物(缶・消火器・イス)は左右のスラロームで避ける。 同じような位置付けの缶・消火器・イスはぶつかってスピードダウンする度合いの強さがことなっており「缶」<「消火器」<「イス」の順に強い。 また左右スラロームは行うごとにスピードをアップする効果もある。つまり今までのように走ってスピードアップするのではない。 スラロームの操作は前の足から反対側へスライドさせ、その後を追うようにうしろの足をスライドさせる。これが逆になるとビタ止まりのブレーキになってしまう。 転んだりブレーキングで止まった時は、今いる側のボタンに両足を乗せることで再び走り出せる。 評価点 対戦ゲームとしては大人数で盛り上がれる理想的な作り。 種目が限られるながら最大6人で楽しめるのは初でありファミコン全体でも有数。 特に6人対戦に関しては4年も後の『ギミア・ぶれいく 史上最強のクイズ王決定戦』まで唯一だった。 更にトーナメントモードまで完備されている。 バリエーションに富んだ種目の数。 大きな括りでは4種目ながら、メニューでは全部で7種類にも及び、特にメイン障害物競走はいろいろな組み合わせで楽しめる。 このあたりは特に「マットを左右半々に分けて対戦」と同じスタイルだったシリーズ第2弾『ランニングスタジアム』よりも大幅に進化している。 しかも、その大きなくくりの4種目はいずれもそれぞれが異なった個性を持っており、特にスケボーレースはこれまでのファミトレではなかったスラローム操作という斬新さがある。 「綱引き」と「ムカデ競争」は6人で走るスタイルは同じでも「とにかくたくさん踏んで連打」と「しっかりタイミングを合わせることが重要」という差別化がしっかりなされている。 障害物競走のプール越えはまるごと越えることは難しいだけに「ただ越えればいい」だけでなく「いかにジャンプで距離を稼ぐか」という違う重要さも生み出している。 キャラのコミカルな動き。 運動会らしくかわいい子供のキャラが飛んだり跳ねたりするのは見ていて和めるところもある。 特にメインの障害物競走では転ぶのも妙に可愛く見えたりする。 これまでにないファミトレのテクニックを生み出したスケボーレース。 スケボーそのものは5月発売のシリーズ第4弾『ジョギングレース』でも登場していたが、こちらはただ自動で進むというだけのものでしかなかった。 今までのように左右はただかわすための動作だったので、それを繰り返してスピードを上げるために行うテクニックを磨くことで、より差を付けられる。 また正攻法のみの避けるためだけのスラロームでもそれなりにスピードの上昇が感じられる。 『ランニングスタジアム』のハードルにあった、ぶつかった時の度合いによってスピードが殺され方が変化する微妙なバランスもしっかり持ち越されている。 特にスケボーレースでは、それがしっかり活かされ例えばぶつかると最も痛手のイスでもスラロームで掠める程度なら、そこまで勢いを殺されない。 お互いの位置関係がはっきりわかる画面構成。 それぞれがプレイヤーを中心に置いた視点になっているが、画面下段でどれほどリードしているか、またはどれほど遅れているかが一目でわかる。 問題点 障害物レースではマットの認識が少々甘く、プレイヤーは走っているのにキャラが跳んでしまうことがある。 ただし『ジョギングレース』とは異なり、跳んでビタ止まりするのではなくジャンプしながらも進むので、それほど致命的なものにはなっていないのが救い。 完全に大人数プレイありきなのでステージクリアの楽しみ方ができずCPU相手にできない競技もある。 この頃のゲームはそれがゲームの根本に据えられていたので、強敵のCPU相手に勝ってクリアやハイスコア、エンディングを目指すと言ったものがないのは少々残念な部分。 もっとも全競技によるステージクリアのようなモードをつけてしまうと、3人プレイ前提な「ムカデ競争」のせいで1人ではやり切れないという不都合も発生するので仕方ないのかもしれない。 3人がかりで行う綱引きやムカデ競争は対戦プレイヤーがいないとできないので1人(1チーム)で楽しむことができない。 特にこれはCPUの強さも設定しやすい部類なので、敢えて外す理由がないと思われる。 メイン障害物競走のほとんどがある程度のスピードがあれば普通にダッシュ力でゴリ押せてしまい、個性が殺されてしまう残念な一面も。 例えば「大玉ころがし」は十分なスピードが出せるなら一旦バックして勢いをつけなくても、スイスイ進めたりする。 総評 障害物競走に編重しがちなバランスではあるが4種類の競技はいずれも個性を持ったものばかり。マットの操作性も一部アクションの伝達が少々不十分とはいえゲーム自体に支障をきたすものではない。 根本は走ることばかりに思えるが、それぞれの競技が独立し求められるものが違うなど決して同じものばかりではない。シリーズ作品で比べても大勢で楽しむゲームとしての面白味に特化して差別化ができている。 ほぼ対戦ありきのゲームで1人で楽しむには少々不向きではあるが、いろいろ変わった競技を楽しめて、みんなでワイワイ盛り上がれることに関しては申し分なし。 1人で遊ぶとなると種目が限られる難点こそあるもののファミトレシリーズとスポーツゲームの相性の良さを感じられる作品である。 その後の展開 シリーズ第8弾はTBSの人気番組『痛快なりゆき番組 風雲!たけし城』のゲーム化作品が1987年12月28日に『ファミリートレーナーシリーズ8 突撃!風雲たけし城』として発売。これは本作の説明書裏で予告されている。 以後シリーズ作品の発売は急速に鈍化しその次の第9弾は1年後、1988年12月20日に上記作品の直接的な続編にあたる『ファミリートレーナーシリーズ9 風雲たけし城 二』まで出ない。 実際上記作品の説明書では、ファミトレシリーズの作品の予告などは一切なかった。 余談 本作は当初『スポーツジョッキー』というタイトルで予定されており「ゴムひも大会、パン食いリレー、スケボーレースなどちょっと変わった運動会」として第5弾『迷路大作戦』第6弾『マンハッタンポリス』の取説裏表紙側で予告されていた。イメージイラストもスケボーに乗った少年がヤリを持ったアフリカの黒人原住民とライオンの横を突っ切るという運動会というより、その体を取ったハチャメチャなアクションゲームのようなイメージだった。 しかし実際にはこのように正統派の運動会ゲームとしての登場となった。 「ちょっと変わった運動会」のゲームは後に『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』(1990年12月 テクノスジャパン)が発売された。これがファミコン屈指のエキサイティングな対戦ゲーとして不動の地位を築いた。 現在は上記作品に運動会ゲームとしての立場を奪われているが、当時の本作はみんなでワイワイ楽しむ運動会ゲームとして、その存在感は大きなものだった。 次回作『突撃!風雲たけし城』の説明書ウラには次回作の告知がなかった反面本作が「好評発売中!!」の扱いで載せられている。 それによると「種目は個人戦から団体戦まで取り混ぜて10種目」と書かれている。しかし実際には上記の通り障害物競走を4種目(「大」「A」「B」「リレー」)と数えても7種目しかない。どういう基準で10と数えたのだろうか? ファミトレはアメリカでもNES用として『Power Pad』の名で発売されておりこれまでのファミトレ作品は大部分はアメリカでも発売されていた。 これ以降の3作品はすべて日本のみの発売で、反対に『ショートオーダー/エッグスプロード!』はアメリカのみで発売され日本では未発売。 そのため日米共通で発売されたものは本作が最後となった。 また日本未発売を含めた以降の4作品はこのようなスポーツ系ゲームで出さなかったため『体感スポーツ』という観点ではシリーズ最後の作品となった。